「素敵」とは?
「素敵」(すてき)は、誰にも馴染みのある言葉ですね。ただし、漢字表記は当て字で、ほかにも「素適」「素的」と書く場合があります。もっとも多く用いられているのは「素敵」です。
「素敵」は、きわめて優れているさま。自分の好みにあい、心がひかれるさま、素晴らしいさま、を意味する言葉です。昔の日本語の「素敵」には、程度、分量が並外れている、という意味がありましたが、現在は使われていません。
「素敵」の成り立ち
「素敵」という漢字は当て字ですが、なぜこの二つの漢字が当てられたのかは、諸説あります。もっとも有力な説は、「素晴らしい」の「素」に「的」がついたといいうものです。
そもそも「素」の字義は、ありのまま、あっさりしている、手を加えない、などで、「素晴らしい」においても当て字といえます。「素晴らしい」という意味においての「素」に、江戸時代後期あたりの(~的)をつける俗語の類型で「素的」という言葉が生まれたようです。
その説を裏付けるように、明治までは「素的」表記が多かったということであり、「素敵」表記が優勢となったのは昭和以降でした。意味からいえば(素晴らしい的)の「素的」で定着しそうなものですが、なぜ「敵」が好まれたのは、謎のままです。
「素敵」の使い方
「素敵」は、もちろん優れているものに向けられる言葉ではありますが、辞書上の定義でもわかるように、「主観」に大きく影響される言葉であることが使い方のポイントのひとつです。
たとえば、車の新製品のエンジンの性能が優れている場合、その「素晴らしさ」は客観的に誰が評価しても「素晴らしい」ですね。ところが、車体のデザインに対しては好みが別れます。ある人の感性と好みからは「素敵」であっても、ほかの人には「素敵」と思えない場合があります。
「素敵」が含む「主観的な判断」という点を鑑みれば、なにかを客観的に評価する必要があるさい、ましてや仕事上であればなお、「素敵」はあまり用いないほうが賢明でしょう。
「素敵」の例文
- 恵美さんの生き方もファッションセンスも本当に素敵で、私の憧れの存在なの。
- 葉山の海沿いにとても素敵なカフェを見つけたから、今度行ってみようよ。
- 新しいユニフォームはなかなか素敵だが、肝心なのは試合に勝つことだぞ。
「素敵」の類語
「素晴らしい」
「素晴らしい」は、「素敵」の由来という説もあるくらいですから、似通った言葉です。とはいえ、「素敵」に比べて、主観的ニュアンスはやや薄まり、客観的視点が強くなります。意味は以下の通り:
- 思わず感嘆するようなさま。(客観的評価として:際立ってすぐれている、このうえなく立派だ。主観諦評価として:きわめて好ましい)
- 程度がはなはだしいさま。
【例文】
- 今回の貴社の商品のご企画は素晴らしいですね。
- こんな素晴らしい方々とご一緒に仕事させて頂けて、本当に幸せでした。
「魅力的」
「魅力的」は、人の心をひきつけるような力があるさま、魅力あるさま、を意味する言葉です。「素敵」と同じく、どのように心がひかれるか、は主観的な要素が強いと言えましょう。
ある人にとって「魅力的」なものが客観的に万人に優れているとはいえません。基準としての評価に使うには適さない場合があることに留意しましょう。
【例文】
- あの映画でヒロインをつとめた女優さん、本当に魅力的だったわね。
- 魅力的なデザインの洋服が、必ずしも着やすく機能性が高いわけではない。
「恰好よい」
「恰好よい」は、(かっこうよい)と読みますが、(かっこいい、かっこよい)などの言い方のほうが口語としては一般的です。姿やかたちがよく、洗練されているように感じられるさまや、人の行動において、潔く憧れを呼ぶようなさまを意味する言葉です。
【例文】
- 真由美ちゃんの彼氏って本当に恰好よいわよね、羨ましいなあ。
- 常に夢をもち、何度挫折しても諦めない山本先輩の生き方は、最高に格好よいと思う。