「目抜き通り」の意味とは?
「目抜き通り」(めぬきどおり)は、まちなかで最も人が行き交う主な通り、その地域で最も目立つ大通り、繁華街の中で中心的な道などを指します。「目抜き」は目立つ・主要な、ということ。「通り」は道路のことです。
英語では「main street(メインストリート)」(意味:小都市の大通り。主要道)が「目抜き通り」に近い表現でしょう。
「目抜き通り」の使い方
「目抜き通り」は、単にある地域の中で大きな店舗が立ち並び、交通量も多い最も大きな道路沿いを指す場合もあります。
そのような大きい道でなくても、街の中心部などの商店街などがある界隈(かいわい:その辺り一帯)、大小様々な店舗や飲食店などがあって人の往来が激しく最も発展している場所のようなイメージで使うこともしばしばです。
「目抜き通り」を使った例文
- 駅のデパートから商店街を抜けてホテルまで行く道が、この街の目抜き通りだよ。
- 漁港の目抜き通りに出るなら、魚のオブジェが目印です。
- アーケードが老朽化したため、目抜き通りでは工事中のマークが目立ちます。
- 目抜き通りのシンボルは、季節の花がとりどりに楽しめる花壇です。
- 歩行者天国がある目抜き通りには、木陰に一休みできるベンチが多く置かれています。
曲名『目抜き通り』
『目抜き通り』は椎名林檎さんとウルフルズのボーカル、トータス松本さんのデュエット曲です。デジタル配信限定で発売されたこの楽曲は、2017年4月に銀座に開業した大型商業施設のテーマ曲として新たな銀座の魅力を表現しています。
また、この曲のスペシャルムービーは「銀座中央通り」で撮影されました。歩行者天国があり、老舗が立ち並ぶまさに銀座の主要な道路、「目抜き通り」が使われたことになりますね。
「目抜き」の由来
「目抜き」という言葉が、日本刀の「目貫(めぬき)」に由来しているのはご存知でしょうか。「目貫」は日本刀の柄(つか:持ち手部分)に付いている金属の飾りの部分です。
現在は、穴を通して柄を固定するものと持ち手部分の装飾用の金属部品が別々になりましたが、もともとは装飾する部品を使って刀と柄の穴(目釘穴:めくぎあな)を貫き通して固定したことから、「目貫」と呼ばれていました。
「目貫」は刀の中でも目立ち、中心的な存在と見られるようになります。その後、「目抜き」という語が派生し「目立つ・主要な」などの意味を持ち、「目抜き通り」などのように使われるようになったのです。
日本刀からできた言葉の例
「目抜き通り」の「目抜き」以外に、日本刀から作られた言葉をいくつか紹介します。
相槌を打つ・頓珍漢
「相槌を打つ」(あいづちを打つ)は、会話をしている最中に相手の話に頷きながら調子を合わせることです。この由来は2人の鍛冶が槌(つち:かなづち)で刀を鍛える(きたえる)様子です。師匠が槌を振るう合間にタイミング良く弟子が槌を打ちます。
しかし、このタイミングが合わないと「とん・ちん・かん」と音が乱れてしまいます。ここから、行き違いがあって辻褄(つじつま)が合わない、ちぐはぐであること、間の抜けたことをする様子を表す「頓珍漢」という言葉がうまれました。この表記は音に漢字を当てたものです。
【例文】
- Aさんは相槌を打つのが上手で、話を理解してもらえているという安心感がある。
- Bさんは頓珍漢な言動が目立つ。嘘を必死で隠そうとしているのかな。
- Cくんは頓珍漢な人で、何かにつけて失敗ばかりしている。
反りが合わない
「反りが合わない」(そりがあわない)とは相性の悪さを表す言葉で、考え方や性格が合わずに協調できない様子を表しています。
「反り」は日本刀の刃と、刃の部分を保護する鞘(さや)の湾曲している部分のことです。この曲がり方が合わないと、日本刀を鞘に収納できません。互いに合わないというところが、人間同士の関係に当てはめられて比喩的に使われるようになりました。
【例文】
- Dさんとは反りが合わないので、同じ班にはなりたくない。
- EさんとFさんは何かにつけて口論となり反りが合わず、周りが気を使う。
鎬を削る
「鎬を削る」(しのぎをけずる)とは、激しく争う、転じて、競技などで熱戦を繰り広げる様子をいいます。「鎬」は日本刀の刃と反対側の峰(みね:刀の背に当たる部分)の間に通っている稜線(りょうせん:線状に高くなった部分)のことです。
互いの刀を激しく打ちつけて切り合うと、鎬の部分が削り取られてしまいます。そこから、激闘を繰り広げるさまを表すのに「鎬を削る」が使われるようになりました。
【例文】
- 両軍とも鎬を削っていて、どちらが勝つかわからない。
- この選挙区では、与党と野党の候補者が鎬を削っている。