「ちぐはぐ」の意味
「ちぐはぐ」は、「ちぐ」と「はぐ」という二つの言葉が組み合わさってできた言葉で、次のような意味があります。
- 物事が食い違って調和がとれていないこと
- 二つ以上でひと組・一対になるべきものがうまく揃(そろ)っていないこと
「ちぐはぐ」の使い方
【1の意味での例文】
- あの人の話は、いつもちぐはぐでさっぱり分からない。
- 僕は、彼女のちぐはぐな言動に振り回されてばかりだ。
【2の意味での例文】
- あの子は、ちぐはぐな手袋をしているね。
- 靴下をちぐはぐに履いている人を見かけたけれど、あれはその人なりのおしゃれなのかな?
「ちぐはぐ」の語源
「ちぐはぐ」は、上で述べたように「ちぐ」と「はぐ」が組み合わさってできた言葉で、主な語源として次の三つが考えられています。
語源1
一つ目は、鎌倉時代に生まれた大工道具「鎮具(ちぐ)=金づち」と「破具(はぐ)=釘抜き」に由来するというもの。二人の大工の仕事ぶりが元になっています。
家を建てるために、大工が金づちで板に釘を打っている側から、別の大工が釘抜きでその釘を抜いてしまって、一向に仕事が進みません。
結局、何をしているのか分からないということから、「ちぐはぐ」という言葉が生まれたとする説で、上記1の意味の語源とされています。
語源2
二つ目のエピソードにも二人の大工が登場します。作業をしている棟梁の側に付いていた弟子が、棟梁が金づちが必要なときに釘抜きを、釘抜きが必要なときに金づちを差し出すのです。
そのかみ合わない様子から「ちぐはぐ」という言葉が生まれた言われており、これも1の意味の語源とされています。
語源3
語源の三つ目は、「一具(いちぐ)」の「ちぐ」と「逸れる(はぐれる)」の「はぐ」という二つの言葉を組み合わせた言葉とする説です。
「一具」は、装束(しょうぞく)・甲冑(かっちゅう)・道具などの一式、一揃えのことや、雅楽の曲で楽章が全部揃っていること。「逸れる」は、連れの人や仲間を見失って離ればなれになることを言います。
本来、一組であるべき物の一部が失われて、揃っていない様子を表す言葉として「ちぐはぐ」という言葉が生まれたとされています。
「ちぐはぐ」の類義語
「とんちんかん」
「とんちんかん」は当て字で「頓珍漢」と書きます。その意味は次の通りです。
- 言動が見当違いなこと。物事が行き違ったり前後したりして訳が分からなくなること
- 1のような行動をする人やそのさま。とんまな言動をする人やそのさま
【例文】
- あの人の話の内容は、いつもとんちんかんでまるっきり訳が分からない。
- そんなことをするなんて、このとんちんかんめ!
「とんちんかん」の語源は、鍛治の仕事の様子からきています。向かい合って座った二人の鍛冶職人が、熱した金属を交互に槌(つち)で打つとき、上手な二人が打つと「トン-テン-カン」というテンポのいい音に聞こえるそうです。
ところが、一人が調子を外すと音が揃わず、「トン-チン-カン」と聞こえてしまうことから、調子が外れているという意味になり、その擬音語が「とんちんかん」という言葉となりました。
「めちゃくちゃ」
「めちゃくちゃ(滅茶苦茶)」は「めちゃ」と「くちゃ」が、組合わさってできた言葉で、次のような意味があります。
- まったく筋道が通らないさま
- 通常に比べ、程度が甚だしい(はなはだしい)さま
- 非常に混乱したさま
【例文】
- あの人は忘れ物をした言い訳をしているが、めちゃくちゃな説明で全く分からない。
- 自動車が衝突して、我が家のブロック塀がめちゃくちゃに壊れてしまった。
- 彼が遅刻したせいで、せっかくの計画がめちゃくちゃになってしまった。
「めちゃ(滅茶)」は、「むちゃ(無茶)」の音が変化したものとされており、その意味は「めちゃくちゃ」と同じです。「くちゃ」は、「めちゃ」に語調を合わせ、また、意味を強調するための語ですから、それ自体に意味はありません。
なお、最近では、「とても・非常に」という意味で、「めちゃくちゃ楽しい」とか「めちゃくちゃ怖い」という表現もよく使われています。