「ご機嫌麗しゅう」の意味とは?
「ご機嫌麗しゅう」(ごきげんうるわしゅう)は、主に上流階級の人が挨拶で用いる言葉です。「ご機嫌」の「機嫌」は気分の良し悪しを表す語で、それに丁寧や尊敬を表す接頭語(美化語)「ご(御)」がついています。
「麗しゅう」は「麗しく」が言いやすくなるようウ音便に変化した語。この場合は「(気分が)晴れやかである様子」をいいます。「ご機嫌麗しゅう」で「(相手の機嫌を美化して)気分が良く晴れ晴れとしている」ことを上品に表現しているのです。
「ご機嫌麗しゅう」の使い方
「ご機嫌麗しゅう」は、会話や私的な手紙などで用いられます。話し手・書き手は主に身分の高い女性ですが、使う相手は女性でも男性でも構わないとされています。
とはいえ、もともと上流階級の人が使う言葉だったこともあり、身分制度のない現代ではあまり見聞きする機会はありません。たとえば、戦前の華族などが登場するような文学や演劇などに登場する程度でしょう。
別れの挨拶として
「ご機嫌麗しゅう」は、多くの場合、別れ際や手紙の文末の挨拶として用いられます。別れの言葉と言っても、永遠の別れではなく近いうちに会うような軽い別れの挨拶です。
「それでは、気分良くお過ごしくださいね」、あるいは、「機嫌が良い」ということを「元気でいる」ことに例えて「それではお元気で」というような含みがあります。
なお、「ご機嫌麗しゅう」という言い切りのほかにも、「ご機嫌麗しゅうお過ごしになりますよう」「ご機嫌麗しゅうございますように」と言うこともありますが、意味は同じです。
【例文】
- (会話の場合)ご機嫌麗しゅう。明日学校でね。
- (手紙の場合)それでは、ご機嫌麗しゅうお過ごしくださいね。かしこ
最初の挨拶として
「ご機嫌麗しゅう」は、上記のように別れの挨拶で使うことが多いですが、出会った時や手紙の冒頭の挨拶としても用いられることがあります。相手に最初に掛ける言葉として、「こんにちは」などの挨拶の代わりに使うイメージですね。
この場合は、相手が機嫌良さそうにしていることを美化して「ご気分良くお過ごしでのようで何よりです」といった意味です。
【例文】
- (会話の場合)皆様、ご機嫌麗しゅう。それでは、お稽古をはじめましょうか。
- (手紙の場合)〇〇様、ご無沙汰しております。ご機嫌麗しゅうお過ごしでいらっしゃいますか。
「ご機嫌麗しゅう」の類語
ごきげんよう
「ごきげんよう」は漢字で書くと「ご機嫌良う」で、「良う」は「良く」がウ音便化した形です。相手の健康を願う気持ちを込めた挨拶言葉で、出会った時や別れの時に用いられます。
出会った時は「気分良くお過ごしですか?」、別れの時は「今後も気分良くお過ごしになりますように」といった意味です。なお、「ごきげんよう」に対する返事は、「ごきげんよう」でも構いません。
「ごきげんよう」は、もとは宮中で女官が天皇皇后両陛下に挨拶した言葉です。後に皇族や華族などの上流階級の女性(女学生)に広まりました。