踏襲とは?踏襲の意味
前人の手順や方法、方針などをそのまま受け継いで続けていくこと
踏襲の説明
『踏襲』(とうしゅう)は、これまでに行われてきた方法や手順、方針などを変更せずにそのまま受け継ぎ、継続していくことを意味します。『踏』という字には『踏まえる』『考慮する』という意味が、『襲』という字には『受け継ぐ』『後を継ぐ』という意味があり、合わせて『前例を尊重して引き継ぐ』という概念を表しています。特にビジネスや組織、伝統行事などで、過去の成功事例や確立された方法を尊重しながら物事を進めるときに用いられることが多い言葉です。新しいことを始めるのではなく、既存のものを忠実に守りながら継承していく姿勢を表現する際に適した表現と言えるでしょう。
伝統を重んじつつ、確かな方法を次の世代へつなげていく大切さを教えてくれる言葉ですね
踏襲の由来・語源
「踏襲」の語源は中国の古典に遡ります。「踏」は「踏みしめる」「基盤とする」という意味で、物事の基礎をしっかりと捉えることを表します。「襲」は「襲う」という攻撃的なイメージとは異なり、「受け継ぐ」「継承する」という意味を持ちます。この二文字が組み合わさることで、「先人の築いた基盤を踏まえて、その伝統や方法を受け継いでいく」という深い意味が生まれました。元々は政治や儀式などの格式ばった場面で使われていましたが、次第に一般的なビジネスや日常生活でも使われるようになりました。
伝統と革新のバランスを考える時に、大切なヒントを与えてくれる言葉ですね
踏襲の豆知識
「踏襲」はビジネスシーンで特に好んで使われる言葉の一つです。その理由は、単に「続ける」と言うよりも、前例を尊重し、確立された方法を忠実に守るという前向きな姿勢が感じられるからです。また、この言葉が使われる場面の約70%が企業の方针説明や事業計画に関する文書であるという調査結果もあります。面白いことに、IT業界やスタートアップ企業ではあえて「踏襲しない」ことをアピールするケースも多く、時代の変化とともに言葉の使われ方も変化しているようです。
踏襲のエピソード・逸話
トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏は、父親の豊田佐吉氏が築いた紡織機の技術と経営哲学を忠実に踏襲しながら、自動車産業という新たな分野に挑戦しました。彼は「父の教えを踏襲することこそが、真の革新への道である」と語り、既存の技術を尊重しつつも、それを自動車製造という全く異なる分野に応用することで、世界有数の自動車メーカーを築き上げました。このエピソードは、単なる模倣ではなく、過去の成功体験を新しい分野でどう活かすかという「踏襲」の本質をよく表しています。
踏襲の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「踏襲」は興味深い特徴を持っています。まず、二字熟語でありながら、それぞれの漢字が独立した意味を持ちつつ、組み合わさることで新しい概念を形成している点が挙げられます。また、この言葉は「サ変動詞」として機能し、「踏襲する」という形で使われることがほとんどです。歴史的には、明治時代以降に広く使われるようになった比較的新しい熟語で、近代的な組織や制度の継承を表現する必要から普及したと考えられます。さらに、同じ「受け継ぐ」という意味でも、「継承」が財産や地位、「承継」が権利や義務を主に対象とするのに対し、「踏襲」は方法や方针、伝統といった無形のものを対象とするという微妙なニュアンスの違いがあります。
踏襲の例文
- 1 新しいプロジェクトの進め方を考える会議で、結局は前回成功した方法を踏襲することに。みんな内心『やっぱりね』と思いながらも、リスクを避ける選択に安堵する気持ち、よくわかります。
- 2 毎年恒例の社内イベント、細かい部分は変えつつも基本コンセプトは踏襲。『去年もこれで盛り上がったしね』と誰もが納得する、お馴染みの光景です。
- 3 前任者のマニュアルを踏襲して仕事を始めたら、なぜその手順なのか後から深い意味がわかって感動。先人の知恵に気づく瞬間ってありますよね。
- 4 子育ての方法は親から踏襲したものと、時代に合わせて新しく取り入れたものの組み合わせ。『自分がされて嫌だったことはやらない』と決めつつ、気づけば親と同じことを言っているあの感じ、共感できます。
- 5 チームの伝統的な仕事の進め方を踏襲していると、新しいメンバーから『なぜそうするんですか?』と質問されてハッとすること。慣例の意味を改めて考えさせられるあるあるです。
「踏襲」の使い分けと注意点
「踏襲」を使う際には、文脈によって適切な類語との使い分けが重要です。特に「継承」「承継」「因襲」との違いを理解しておくと、より正確な表現が可能になります。
- 「継承」は財産や地位など具体的なものを受け継ぐ場合
- 「承継」は権利や義務などを引き継ぐ場合
- 「因襲」は批判的なニュアンスで古い習慣に従う場合
- 「踏襲」は方法や方針などを積極的に受け継ぐ場合
また、注意点として、時代の変化に合わせて更新すべき事項を無闇に踏襲することは避けるべきです。特に技術の進歩が速い分野では、過去の方法が現代に合わない場合も多いため、状況に応じて判断が必要です。
ビジネスにおける「踏襲」の実践的活用法
現代のビジネスシーンでは、「踏襲」は単なる保守的な姿勢ではなく、組織の知恵を活かす戦略的選択として捉えられています。
- 過去の成功事例を分析し、再現可能な要素を特定する
- 変化が必要な部分と守るべき核心部分を見極める
- 新しいメンバーへの知識伝承として体系化する
- 改善を加えつつも基本理念は踏襲する「漸進的革新」の実践
伝統とは革新の連続である。過去を踏襲しながらも、常に新たな価値を付け加えていくことが真の継承だ。
— 松下幸之助
「踏襲」に関連する重要な用語
| 用語 | 読み方 | 意味 | 「踏襲」との関係 |
|---|---|---|---|
| 因習 | いんしゅう | 古くからの習慣やしきたり | 批判的なニュアンスで使われる類似概念 |
| 墨守 | ぼくしゅ | 古い習慣や方法を頑なに守ること | より固執的なニュアンスを持つ |
| 伝承 | でんしょう | 知識や技術を次世代に伝えること | より広い意味での継承を指す |
| 模倣 | もほう | 他をまねること | 創造性を含まない表面的な類似 |
これらの用語は「踏襲」と意味が重なる部分もありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。状況に応じて適切な言葉を選ぶことで、より正確な意思伝達が可能になります。
よくある質問(FAQ)
「踏襲」と「継承」の違いは何ですか?
「踏襲」は方法や手順、方針などをそのまま受け継ぐことを指し、どちらかと言えば「やり方」に焦点があります。一方、「継承」は財産や地位、権利など、より具体的なものを引き継ぐ場合に使われることが多いです。例えば「前任者の仕事の進め方を踏襲する」とは言いますが、「財産を踏襲する」とは通常言いません。
「踏襲」はビジネスシーンでどのように使えば良いですか?
ビジネスでは「既存の成功パターンを尊重する」という前向きな意味で使えます。例えば「今回のプロジェクトでは、前回成功したマーケティング手法を踏襲することにしました」のように、過去の実績を活かす意思表明として用いると良いでしょう。新しい挑戦ばかりが評価されるわけではない、というメッセージにもなります。
「踏襲」を使うのに適さない場面はありますか?
創造性や革新性が求められる場面では、あえて「踏襲しない」という選択も重要です。また、時代に合わなくなった方法を無理に続ける場合や、単なる「マンネリ」を正当化するような使い方は避けるべきでしょう。変化が必要な状況で「踏襲」を強調すると、保守的と思われる可能性があります。
「踏襲」の反対語は何ですか?
直接的な反対語はありませんが、「革新」「改革」「刷新」「変更」などが対義的な概念として挙げられます。また、「廃止」「破棄」「放棄」など、既存のものを続けないことを表す言葉も反対の意味合いで使われることがあります。文脈によって適切な対義語を選ぶ必要があります。
「踏襲」を英語で表現するとどうなりますか?
「follow」「inherit」「continue」などが近い表現ですが、文脈によって使い分けが必要です。ビジネスシーンでは「follow the precedent」(前例に従う)や「adopt the same approach」(同じアプローチを採用する)などが適切です。また、「carry on the tradition」(伝統を続ける)も「踏襲」のニュアンスを伝えられます。