「内弁慶」とは?意味や使い方をご紹介

「内弁慶」(うちべんけい)という言葉をご存知でしょうか。あなたの周りにも、「内弁慶」な人は意外と多いかもしれません。「陰弁慶」(かげべんけい)や「隠れ弁慶」ともいいます。ここでは、「内弁慶」の意味や使い方を由来や類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「内弁慶」とは?
  2. 「内弁慶」の使い方
  3. 「内弁慶」の由来
  4. 「内弁慶」の類語

「内弁慶」とは?

「内弁慶」(うちべんけい)とは、「身内の中では強がるのに、外では意気地がないこと」や、そのような人のことです。

「弁慶」とは、歴史上存在したとされる伝説的な武人の名であり、転じて「強い者」(怪力や豪傑の者)を指す言葉です。(詳しくは「由来」の項をご参照ください)

家族や顔見知りなどに対しては「弁慶」のように強く振る舞うのに、部外者や見ず知らずの人に対しては急に弱気になったり、無口になったりするさまを、「内側に対してのみ弁慶」であることにたとえて、「内弁慶」と表現します。

「内弁慶」の使い方

「内弁慶」は、ほとんどの場合において「あの人は内弁慶だ」のように、人の性格やタイプを指して使います。

どちらかと言えば、「内弁慶」はあまりいい意味では使われません。相対する人や場面によって態度を変える「二面性」もさることなから、勝手知ったる身内にだけ強く出るさまは、あまり世間的評価が良いものではないからです。

ただし、もともと内気で引っ込み思案な人が、気心知れた仲間内でのみ本心をさらけだして陽気に冗談を飛ばし合うようなさまを「内弁慶」と呼ぶこともあり、その評価は相対的です。身内に対して気が大きくなるのは、誰にでも当てはまる事とも言えます。

例文

  • 部長ときたら、社内では俺が俺がと威張り散らしているのに、取引先へ行くと自分からは一口も発しない。内弁慶そのものだ。
  • いつもニコニコ温和な□□さんは、実は大変な内弁慶で、家庭内では恐怖政治を敷いているとのうわさだ。
  • バイト先の〇〇さんは、友人の△△さんと一緒のときは陽気でよく喋るけど、△△さんが帰ると、誰とも喋らず黙々と仕事をしており、内弁慶と呼ばれている。

「内弁慶」の由来

「弁慶」について

「内弁慶」の由来となった「弁慶」とは、平安時代末期~鎌倉時代に実在したとされる「武蔵坊弁慶」(むさしぼうべんけい)という名の僧兵(法師)のことです。源義経の忠臣として活躍しました。

現在「弁慶」として伝えられている人物は、創作としての脚色が色濃く加わっていると考えられています。しかし、それでもその破天荒きわまりない生涯や荒唐無稽なエピソードは大変有名で、今の世でも主君たる義経と並ぶほどの人気があります。

「弁慶」の主なエピソード

  • 母の胎内に3年ほどもおり、生誕時には歯が生えそろい、髪も伸びていた。
  • 勉学を嫌い、乱暴をはたらいて寺を炎上させるなどの狼藉を働く。
  • 京の街で道行く武者と次々決闘し、彼らが帯刀する太刀を1000本集めようともくろむ。
  • その後、太刀を999本まで集めたが、次に通りかかった義経に敗れ、降参し家来になる。その後、武名を上げる。
  • 義経が没落した際も、京から逃げ延びる主君に同行し、いくつもの危機を乗り越える。
  • 最後は、義経を守るために敵の多勢に単身立ち塞がり、無数の矢を受けながら、仁王立ちしたまま絶命する。(成句:「弁慶の立ち往生」の由来)

※あくまでも創作のエピソードと考えられておりますので、異説や変形エピソードも多数存在します。

「弁慶」に関係する言葉

  • 弁慶の立ち往生…上記エピソードにちなみ、戻ることも進むこともできないような、進退きわまる状況のたとえ。
  • 弁慶の泣き所…向こうずねのこと。弁慶ほどの人物でも、(人体構造上の必然的な)弱点があり、蹴られれば痛いことにちなむ。転じて、強く見える人の意外な弱点のこと。

「内弁慶」の類語

「内弁慶」のように、「内では強気なのに、外では弱気」を一言で言い表すのは少々難しいですが、どちらかと言えば「外ではいつも弱気だ」という点にニュアンスの重点があるため、以下のような言葉が類語たりえるでしょう。

  • 優柔不断
  • 骨なし
  • 腰抜け
  • 腑抜け
  • 意気地なし
  • 不甲斐ない


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