「鼓動」の意味
「鼓動(こどう)」には複数の意味がありますが、大きく分けると次の二つに集約されます。
- 心臓の律動的な動きや響き
- 目標に向かって近づこうとする力強い動き
本来は1の意味にあるとおり、心臓が規則正しく収縮を繰り返す動きやその響きを表す言葉です。「ドクン、ドクン」という擬声語に代表される胸の脈動です。
このことが、内なるものが「生」を与えられて力強く動き出すという2の意味へとつながっていきます。
「鼓」の字義
「鼓動」を構成する「鼓」には、「つづみ」という訓読みと「コ」という音読みとがあります。「つづみ」とは、太鼓や小鼓といった打楽器を表す言葉です。
これと関連して、「鼓」には打ち鳴らす、たたくという意味も持っています。そして、このことが心臓の動きである「鼓動」へとつながっていったと考えられますね。
さらに、「鼓」には、ふるいおこす、ふるいたたせるという意味もあります。(例:「鼓舞」など)
「鼓動」を使い方・例文
- 舞台の本番を目前に控え、タカシは鼓動の高鳴りを抑えられずにいた。
- この公園の木々や花々を見ていると、春の鼓動が聞こえてくるようだ。
- その文芸書を読めば、新時代の思想が鼓動しているのを感じるはずさ。
これらの中で、直接的に心臓の動きを表しているのは初めの例文だけです。残りの二つは、比喩的に目標へ向かう力強い動きを表しています。
二つの例文では、本格的な春の到来を告げる動きであることが読み取れるでしょう。また、最後の例文では、新時代の思想が市井の人々にも根付こうとしている様子が描かれています。
「鼓動」の関連語
「心臓の動き」に関連した言葉
- 動悸(どうき)…胸がどきどきすること。
- 心拍(しんぱく)…心臓の鼓動。
- 拍動(はくどう)…心臓が収縮運動をすること。
- 脈拍(みゃくはく)…心臓の拍動によって生じた振動が伝播したもの。
- 脈動(みゃくどう)…脈拍のような律動的な動き。
これらの言葉のうち、最初の三つは心臓の動きそのものに関連したものです。しかしながら、残りの二つについては、やや意味合いが異なります。
というのも、脈拍や脈動は心臓の動きによって生じた、いわば二次的に生じたものだからです。
【例文】
- 動悸が激しくなったので、無理をせず家で静養することにした。
- 心拍数が上がり過ぎないように運動量をコントロールすべきだ。
- 心臓が規則的に拍動することで全身に血液が送られているのだ。
- 手首にそっと指をあてて実際に自分の脈拍を感じてごらんなさい。
- 彼らの若き血潮が脈動するのを、彼は暖かな眼差しでみていた。
「目標に向かう動き」に関連した言葉
- 息吹(いぶき)…活動を行う前のきざし。
- 胎動(たいどう)…内部で新しい物事が動き出すこと。
- 予兆(よちょう)…未来の事柄を予知させる現象。
- 前兆(ぜんちょう)…ある物事が起きる前触れ。
- 萌芽(ほうが)…物事が始まること。きざし。
これらの言葉に共通するのは、これから何かが始まろうとする「きざし」や「前触れ」を表しているところです。その何かとは、自然現象なのかもしれませんし、人為的なものかもしれません。
【例文】
- 日に日に色づいていく裏山の景色を見ると、春の息吹を感じずにはいられない。
- 彼女のプレーには新しい時代の胎動をまざまざと見せつけられるような思いだった。
- 各地に設置したセンサーの情報からは、火山が噴火する予兆が見られるという。
- 昨夜の地震は何か良くないことが起こる前兆ではないかと村人たちが騒いでいました。
- 理由はどうあれ、反社会勢力の萌芽は断固として許すべきではないというのが結論だ。
「鼓動」を英語で表すと?
「鼓動」を英語で表す際には、その表す意味がどのようなものかをきちんと把握しておく必要があります。というのも、文字通り心臓の動きを表している場合とそうでない場合があるからです。
心臓の動きを表すもの
「鼓動」が心臓の動きを表す場合、英語では主に「beat」や「pulse」、「throb」などを用いて表現します。「beat」は、心臓を意味する「heart」と組み合わせて「heartbeat」と表記される場合もしばしばです。
目標に向かう動きを表すもの
「鼓動」が目標に向かう動きを表す場合、英語では主に「sign」や「indication」、「symptom」などを用いて表現します。これらの単語は、「兆し」や「しるし」などと訳せるのも特徴です。