「無駄」とは
「無駄(むだ)」とは、役に立たないこと、やっても効果のないことです。実はこの「無駄」という漢字は当て字なのです。本来は、徒労(とろう)とか、徒に(いたずらに)などの「徒」を(むだ)と読むのですが、一般的ではなく「無駄」のほうが広く使われています。
当て字とは、漢字の意味に関係なく、その音や訓に同じ読み方の漢字を当てることです。「無駄」の「駄」は、運送用の馬のことで乗馬に向いていない下等な馬ということから、値打のないもの、つまらないものといった意味もあります。
このことを考えると、値打のないものを無(な)くす、とも解釈できる「無駄」の漢字は、当て字とはいえ的を得ているように感じられますね。
「無駄」の使い方
「無駄」は、生活全般の様々な場面で使うことができます。エコロジーやロハスといったものも、環境保護の観点から「無駄」をなくそうとする考え方ですね。
「例文」
- 給料の半分をギャンブルに使うなんて無駄遣いもいいところだよ。奥さんがよく黙ってるな。
- 食品ロスが社会問題になっているが、我が家では食べ物は無駄にせず、全て食べ切るようにしている。
- 会社では、ミスコピーは捨てずに、裏をメモ用紙や試し印刷に使うようにして無駄を減らしている。
- 仕事の役に立つと思って参加した研修だったが、知っていることばかりで時間の無駄だった。
- 一流のスポーツ選手は、体を無駄なく使っているから最高のパフォーマンスが発揮できる。
- 優秀な営業マンは、無駄話と思われるよう雑談から顧客ニーズを見つけ出して、仕事の成果に結びつけているそうだ。
「無駄」の類語
「無用」
「無用(むよう)」は、役に立たないことを意味します。また、必要がないという意味もあり、「心配はご無用です」とか「問答無用」などといった使い方もされます。
【例文】
- 政治家の中には何もしない、何もできない無用の長物も結構いるよ。
- 「無用の用」ということわざは、役に立たないと思われているものが、大きな役に立っているという意味の老子の言葉だそうだ。
「無益」
「無益(むえき)」は、役に立たないこと、利益にならないことという意味の言葉です。「無益な争い」とか「無益な議論」などと言いますね。
【例文】
- 犬や猫を虐待する事件が多発しているが、まったく無益な殺生で、犯人を許すことはできない。
- チームメイト同士で争っても無益なばかりで、相手チームを有利にするだけだ。
「無効」
「無効(むこう)」は、役に立たないこと、効果がないことです。スポーツの試合で判定の無効とか選挙違反が発覚して当選結果が無効になったといった話題が時々ありますね。
【例文】
- 電車の回数券を買っていたのに、外出自粛で期限切れ無効になってしまった。
- 祖父は遺言状を残していたのに、遺族の一人が異議を言い出して、遺言無効の裁判を起こした。
「徒労」
「徒労(とろう)」は、頑張って何かをしたのに無駄に終わってしまったり、役に立たないことです。頑張ってしたことが「無駄」だ言われるとショックですが、「徒労」に終わるのもつらいことです。
【例文】
- 設計コンペの優勝を目指して頑張ってきたのに、最初から大御所建築家の作品に決まっていた出来レースで、我々の努力は徒労に終わってしまった。
- 高校3年間、難関大を目指して勉強してきたのに、志望校受験日にインフルエンザにかかって受験できず、努力は徒労に帰してしまった。
「不経済」
「不経済(ふけいざい)」は、時間や金銭などの使い方に無駄が多いことです。いま必要のないものを大量に買い込んだり、新製品が出たからと言ってすぐに買い替える、などといった不経済なことを経験したことがある方も多いことでしょう。
【例文】
- 冷蔵庫の扉を開けて、何かないかと考えていると不経済だといつも母から叱られる。
- 弟は雨が降るたびにコンビニで傘を買って、家にはビニール傘が山ほどある。ほんとに不経済な奴だ。