「嘘八百」とは?
「嘘八百」は、(うそはっぴゃく)と読みます。「嘘」は誰もがよく知る言葉ですね。ここにおける「八百」は、具体的な数そのものを表しているわけではありません。日本語では、古来より「八(や)」は数の多いことを表しました。
その「八」の百倍の「八百」は、非常に数が多いことのたとえとして用いられています。ゆえに、「嘘八百」は、数多くの嘘、なにもかもが嘘であること、まったくのでたらめという意味です。
「嘘八百」の使い方
「嘘八百」は、「並べる」といっしょに使われることが多い言葉です。嘘八百を並べる、嘘八百を並べ立てる、という言い回しは頻度高く登場します。
「嘘」だけの場合、「嘘をつく」がもっとも自然な言い回しですが、「嘘八百をつく」とは言わないことに注意しましょう。「嘘八百を言う」「嘘八百を語る」などが適切です。ほかには、「~は嘘八百だ」「嘘八百の~」などの表現もみられます。
「嘘ばかり」「嘘だらけ」を意味する「嘘八百」ですから、攻撃的な印象は避けられません。用いるべきかは慎重に見極めましょう。
「嘘八百」の文例
- 田中君はよく遅刻するが、そのこと以上に嘘八百の言い訳を並べることで評価を下げている。
- 由美さんは虚栄心が強く、実家が資産家だ、祖先は皇族だ、などと嘘八百を並べ立てる。
- 嘘八百ばかり言わずに、君は地に足をつけた生活と生き方をするべきだよ。
- 嘘八百の宣伝文句に騙されて、ジュースに近い栄養ドリンクを高額で買わされてしまった。
- ネット通販で組み立てラックを買ったが、たやすく完成するという文言は嘘八百だった。
「嘘八百」の類似表現
「嘘八百」は、平たく言えば嘘だらけ、嘘ばっかり、と表すこともできます。他にも、似た意味の慣用句がありますので挙げておきましょう。
【ほらを吹く(法螺を吹く)】
法螺貝を吹くと、見た目に反して、想像以上に大きな音が出ることから、大げさなでたらめや嘘を言うこと、を表すようになりました。
「ほらを吹きまくる」「大ぼら吹き」など、この慣用句から派生した言い回しもいくつかありますが、どれも「大げさな嘘ばかり言う」という意味ですから、「嘘八百」に類似した表現と言えます。
「八」にまつわる言葉
【八重桜(やえざくら)】
花弁が幾重にも重なっている桜の名称。花弁は8枚でなく、多数あります。
【八つ当たり】
あちらこちらに当たり散らすこと。8か所だけという意味ではありません。
【八百万(やおよろず)の神】:数多くの神、すべての神。八十神(やそがみ)、八十万神(やそよろずのかみ)ともいいます。森羅万象に神があるとする、古代日本の観念です。
【大江戸八百八町(おおえどはっぴゃくやちょう)】
江戸の町の数が非常に多いという、江戸の規模の大きさを表す言葉。実のところは、江戸がどんどん栄えたため、町の数は808の倍以上に達したとのことです。