「互換性」とは?
「互換性」(ごかんせい)とは、主に機械部品・ソフトウェア・電子データなどの分野において、「互いに取りかえがきくこと、別のものに置きかえても使用可能であること」を意味する言葉です。
「互換」を「互いに(取り)換えること」と読めば、そのような「性」質を持つさまを「互換性」と呼ぶと覚えやすくなるかもしれません。
現代人の生活はさまざまな機械(部品)やITソフトウェアによって支えられており、その多くのものに「互換性」の概念が適用されています。
「互換性」の例
例えば、部屋の照明(電球、蛍光灯)が切れてしまったときのことを考えましょう。物理的な径(大きさ)やワット数さえ同じであれば、原則的にはどのメーカーの製品を買ったとしても同じように機能するように作られています。これが互換性です。
さらに、情報技術が発達した現代では、「データの互換性」(ある電子データが違う環境・システムでも利用できるかどうか)など、非物理的な情報概念においても「互換性」について言及される機会が増えています。
「互換性」の使い方
「互換性」と言う言葉は、多くの場合は「ある/ない」の二元的な視点で用いられます。
ただし、一口に「互換性がある」と言っても、「一部の機能のみ互換している(完全に互換性がないわけではない)」「一定条件の下で互換性を保証する」ことを意味する場合があるため、少々注意が必要です。
そのため、完全な互換性があることを示すために「完全互換」と言ったり、互換性の度合いを示すために互換性が「高い/低い」と言ったり、「互換性を向上させる」といった表現が用いられたりすることもあります。
例文
- 〇〇電器の新しい冷蔵庫は、いくつかの主要部品について旧製品との互換性があり、修理や交換が容易であることが特長のひとつだ。
- この部品はこのメーカーの独自規格となっているため、他の部品との互換性がありません。そのため、修理は必ずメーカーの窓口へご相談ください。
- 機種同士の互換性がないため、君のパソコンで作成した文書を私のパソコンで読みこむことができないんだ。データの形式を変更した上でもう一度送ってくれないか。
- このプログラム言語は他の多くの言語と一定の互換性が確保されており、データベース管理からウェブブラウザまで、幅広く運用されている。
「上位互換/下位互換」
「上位互換」(じょういごかん)とは、同種・同系列のある製品について、「グレードの高い(上位の)製品が、それよりグレードの低い(下位)の製品に対する互換性を持っていること」を意味する言葉です。
例えば、「1~10」までの機能を扱えるソフトウェアがあったとします。そのすべての機能が使用できる「プロ向け」のグレードと、「1~7」までの機能しか使えない「一般向け」のグレードがあった場合、前者は後者の上位互換ということができます。
「下位互換」(かいごかん)はその逆で、上位のグレードで作成した規格(この例で言えば「8~10」の機能で作成したデータ)であっても、一定条件を満たせば下位のグレードでも扱えるようになることを指します。
「前方互換/後方互換」
「前方互換/後方互換」(ぜんぽうごかん/こうほうごかん)は、時系列を基準とし、「前方(新しい)」と「後方(古い)」を区別して互換性を表す表現です。
「前方互換」は、古いシステムで新しいシステムを使用可能なことであり、例えば、モノクロテレビでもカラーテレビの電波を受信できることなどが該当します(カラーで表示されるわけではないにせよ、受像自体は可能です)。
その逆に「後方互換」は、新しく発売された製品でも、古い規格・システムを扱えることを意味します。
「互換性」を英語で言うと
「互換性」を英語で言うと「compatibility」です。何とかカタカナにすると「コンパチビリティ」。「互換性あり」としたい場合は「compatible」としましょう。
例文
- At the cost of adding new features, compatibility is no longer complete.(新しい機能を加えた代償として、互換性は完全なものではなくなった)