「蒐集品」の読み方・意味
読み方
「蒐集品」は、<しゅうしゅうひん>と読みます。
「蒐」の字はあまり見かける機会が多くなく、読みを覚えにくいかもしれません。「収集」という言葉と関連付けて覚えるのが良いでしょう。(詳しくは後述します)
意味
「蒐集」とは「何かをいろいろと集めること」の意であり、「品」は「品物」(何らかの用途に当てる形ある物)の意です。すなわち、「集められたもの」が「蒐集品」の基本的な意味です。
ただし、「蒐集」は「ただ集める」のではなく、多くは趣味や研究などのために「特定の何かを積極的に集める」というニュアンスで使われます。
そのため、結果として「蒐集品」も「労力を投じて集められたもの」という意味合いを持つ場合が多いことを覚えておきましょう。「コレクション」と言い換えても良いかもしれません。
「蒐集品」という言葉の使い方
「蒐集品」は広く「集められたもの」について使用できます。よく「蒐集品」と呼ばれるものとしては、美術品や骨董品、特定のジャンルの製品や記念品、趣味の品物(切手、コイン、書籍など)が該当します。
「蒐集品」はいずれも集める主体にとって価値ある品物であり、集める・集めた行為(蒐集)そのものにも一定の価値が見出される場合がほとんどです。ただし、「蒐集品」が常に万人にとって価値を持つとは限りません。
「数」と「網羅性」
厳密に決まっているわけではありませんが、「蒐集品」と言うからには、一定の数と、ある程度の網羅性(もうらせい:関連する物を残らず集めること)が求められます。
どれだけ貴重なものであっても、2点、3点の品物を指して「蒐集品」と呼ぶことはほとんどありません。
また、集める対象のジャンルについて、完璧にではないにせよ「それなりに揃っている」、「一般的な水準の所有率や網羅率を大幅に超えている」と言える程度の網羅性は、「蒐集品」と言うための基本的な構成要件と言えます。
例文
- 彼は大変な昆虫標本マニアで、よく自宅のコレクションルームに人を招いては、自慢の蒐集品を見せびらかしていた。
- 骨董好きの祖父の死後、貴重な蒐集品の数々が親族に分配されたのちに売却され、その多くは行方知れずとなった。
- あの博物館の地下倉庫には、膨大な美術蒐集品が眠っているという。
「蒐」の字について
「蒐」(シュウ)の字は、草冠と「鬼」(人の血痕の意)から、人の血のあとに生えると言い伝えられる草「あかね」(アカネ科の多年草全般、およびそれから作られた赤い染料、薬)を表します。
「シュウ」の読みが「集」の字に通じることにより、「蒐」は「あつめる」という意味を持つに至ったと考えられています。他にも「かくす」「狩り」「かぞえる、しらべる」といった意味もありますが、現代ではあまり使われていないようです。
「蒐」の字を含む熟語としては、以下のようなものが挙げられます。
- 蒐田(しゅうでん)…狩りをする。
- 蒐羅(しゅうら)…あつめる。
- 蒐猟(しゅうりょう)…狩り、および狩りによる軍事訓練。探し集める。
「収集」と「蒐集」の違い
読みが同じである「蒐集」と「収集」は、辞書的にはどちらを使っても同じ意味です。つまり「蒐集」は「収集」と書いてもよく、その逆もまた然りです。
しかしこれまで解説してきたように、「蒐集」には趣味・研究の観点で物を集めるというニュアンスがあり、「収集」と意味は同じでも使い方には少々差があります。
例えば「ごみ収集」とは言いますが、「ごみ蒐集」といった言い方はまずしません。「蒐集」は「収集」に比べ、「集める」ことについて何らかの作為や意図をこめた言葉であると言えるでしょう。
「蒐集品」を英語で言うと?
「蒐集品」の英語表現は以下の通りです。
- collectibles
- collected items (goods)
いずれも「集められたもの」の意です。原則として複数形で扱う点を覚えておきましょう。