「あばずれ」の意味
あばずれ(漢字表記:阿婆擦れ、阿婆擦)は、品がなく厚かましい、下品で世慣れて図々しい、慎み深いところが感じられないといった様子や、そのような態度の人を指す言葉です。
昔は男性にも使われたということですが、現在では「あばずれ」は女性に対して使われます。
「あばずれ」の使い方
「あばずれ」は素行の悪い女性に対する軽蔑を込めて使われる表現です。性的にふしだらであると陰口などで用いることもある、ネガティブで、女性にとっては不名誉な言葉です。「あばずれ女」という形で用いられることもあります。
また、特に素行が悪くなくても、気に入らない女性を罵倒する時に相手を貶める文句として使うこともあるでしょう。
現在では「あばずれ」は古めかしい言葉で、若い世代の話し言葉ではあまり使われなくなっています。どちらかというと小説やドラマなどのセリフで見られる言葉ですが、かなり語感が強い表現なので、使う時には注意が必要です。
「あばずれ」を使った例文
- 女性タレントのAさんは、テレビでは清楚な振りをしているけれども、本質はとんでもないあばずれらしい。
- 未成年の頃から男を切らさず、タバコや酒も当然だったあばずれだが、就職してからだいぶ落ち着いたようだね。
- 俺みたいなハイスペックな男をふってあんな奴と付き合うだなんて、結局はとんだあばずれ女だったってことだ。
- 年上に偉そうな口をきいて、図々しいあばずれだな。
「あばずれ」の語源
「あばずれ」の「ずれ」とは?
「あばずれ」の「ずれ」の語源は、「擦れる」(すれる)だといわれています。「擦れる」は物同士が触れ合ってこすれることです。「あばずれ」はそこから、純粋なところが擦り切れて世慣れた様子や、ずる賢いという意味を表すようになったと考えられます。
「あばずれ」の「あば」とは?
「あばずれ」の「あば」の語源は諸説あります。漢字表記の「阿婆」は中国語で「お婆さん」や「父母と同世代の女性」を指すため、それに由来するという説もあります。
しかし、古くは「あばずれ」が男性にも使用されているため、「阿婆」は当て字にすぎないとする説が有力です。「あば」の語源だと考えられている説を2つ挙げます。
「あば」の語源:淡淡しい
「あばずれ」の「あば」は「淡淡しい」(あわあわしい)から来ているという説があります。「淡淡しい」は、淡い色や薄い味、かすかでぼんやりしている様子を指します。
しかし、古語の「淡々し」には、軽薄で浮ついている様子という人の気質を表す意味があります。詳しい変化の経緯はわかりませんが、「淡淡しい」が縮約されて「あば」に変化したのではないかと推察されています。
「あば」の語源:暴れ者・あばけ者
「あば」は乱暴者という意味の「暴れ者」(あばれもの)、もしくは、軽率な人を指す「あばけ者」から取られたのではないかという説もあります。そこに、世間ずれしているという意味の「すれ」がついて「あばずれ」になったということです。
「あばずれ」の類語
擦れっ枯らし
「擦れっ枯らし」(すれっからし)は、世間でいろいろな経験をして悪知恵がつくことをいいます。元よりも性質が悪くなっているさまを指します。どちらかというと女性に使うことが多い印象の言葉です。
もともとの形は「擦れ枯らし」で、促音(詰まった音)が追加されています。
【例文】
- Bちゃん、昔はかわいかったのに、今はケバくなっちゃって、擦れっ枯らしの女って感じだなあ。
- すっかり擦れっ枯らしになっちゃって、昔はあんなに計算高くなかったよね。
ズベ公・ずべ公
「ズベ公・ずべ公」(ずべこう)は、だらしなく下品な女性、素行が悪い女性をいいます。現在ではほとんど聞かれなくなった表現です。「ズベ」は「ずべら」が略された形で、だらしない行動をする、ずぼらという意味です。
「公」は語の下に付けて相手を軽蔑する時に使われます。使用例に「ポリ公」(警察官)、「先公(せんこう)」(教師)があります。
【例文】
- 第二次大戦後には「ズベ公」と呼ばれる不良少女が、夜の町にたくさんいたそうだ。
- 夜遊びを平気でする、ずべ公に育てた覚えはないぞ。