「手筈」とは?意味や使い方をご紹介

「手筈」という言葉をご存じでしょうか。あまり見慣れない言葉ですが、「てはず」と読めれば、「準備」とか「段取り」のことかなと何となく想像できるかもしれませんね。この記事では「手筈」について、意味や使い方とともに類語などもご紹介します。

目次

  1. 「手筈」とは
  2. 「手筈」の使い方
  3. 「手筈」の類語

「手筈」とは

「手筈(てはず)」とは、「物事をするために、あらかじめ決めておく手順や段取りのこと」です。一言で言えば「事前準備」ということです。

」は、人間の体の部位ですが、とても多くの意味を持ちます。そのひとつに、「手を使ってさまざまなことを行う」という意味があり、手段や方法、といったことも表します。

「筈」とは

(はず)」は、弓の両端にある、弦をかける部分のことです。また、矢の末端にあり、弓の弦を引っかけるための切込みのことも指します。それぞれ「弓筈(ゆはず)」「矢筈(やはず)」と呼ぶこともあります。

弓筈と矢筈はぴったりと合うことから、「そうなって当然」とか「それが道理だ」「そうなるべき予定」という意味を表すようになりました。この場合は、ひらがなで表記するのが一般的です。

【例文】

  • デートの約束は確か6時に駅前だったはずだ。【予定の「はず」】
  • 道順はカーナビ通りにいけば間違いないはずです。【確信の「はず」】
  • 昨日君に頼んだ仕事は、今日中にやるように言ったはずだがね。【確認の「はず」】

「手筈」の使い方

  • 就職して親から独立することになったが、引っ越しの手筈は自分で整えた。
  • 決勝戦終了後の表彰式の手筈を整えるために、担当者は試合前から会場で準備をしていた。
  • 手筈どおりにAさんにブーケを投げたのに、ほかの人がキャッチしてしまった。
  • 君が来たらすぐに出発できる手筈になっているから、心配しないでいいよ。

「手筈」の類語

「段取り」

段取り(だんどり)」には、「物事をうまく進めるために、前もって手順を決めておくこと」という意味があります。「手筈」と同義ととらえてよいでしょう。

由来として有力なのは、歌舞伎の言葉です。歌舞伎の中で話の区切りや幕のことを「段」と呼び、その「段」を一つ一つ進めていく筋の運びや構成を「段取り」と呼んだとされています。これが派生し、上記の意味が生まれました。

【例文】

  • 今度、取引先と重要な案件で協議するから、先方と段取りをつけておいてくれ。
  • 明日の段取りをつけるために少し残業したら、タイムマネジメントができていないと上司に叱られた。

「対策」

「対策」は、「相手の出方や物事の様子などに応じて処理する手段・方法」のことです。自然災害が発生した時に設けられる「災害対策本部」とか、景気動向を踏まえた「景気対策」などという言葉も聞いたことがあるでしょう。

「対策」は、事が起こった時にとるものと、事が起こることを想定して準備するものの両方に使うことができます。後者の用法で「手筈」と同じですね。

【例文】

  • 資金繰りの悪化で倒産する会社が増えていることから、政府に経済対策を急ぐよう求めた。
  • 先の水害を受けて、今後、同規模の水害発生に備えた対策を講じる。

「都合」

都合(つごう)」は、多義的ですが、「やりくりすること。工面すること」という意味が「手筈」に近いでしょう。この言葉も「やりくりする」ことが起こった時と、起こる前に予想して準備する場合の両方に使います。

【例文】

  • 結婚式の招待状をもらったけど、その日は仕事の都合がつけられなくて出席できない。
  • 先方の都合がついた時にすぐ対応できるよう今から準備しておこう。

「用意」「準備」

「用意」には、「ある物事をする際に、事前に必要なものを準備したり、環境を整えること」という意味があります。「準備」も同様の意味を持ちますから、どちらも「手筈」の類語たりえます。

「手筈」に比べると、「用意」や「準備」のほうがよく使われている印象で、なじみ深い言葉ですね。

【例文】

  • 地震が発生したときのために、防災用品や避難用のリュックを用意しておこう。
  • 久しぶりに子供たちが帰ってくるので、午前中から夕食の用意を始めた。
  • 忘れ物をしないように、持ち物は前の日に準備しましょう。


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