「精通」とは
「精通」には次の二つの意味があります。
- ある物事を詳しく知っていること。物事によく通じていること
- 男子の初めての射精
多くの場合、「精通」は1の意味で、物知りな人や博識な人に対して使われる言葉です。
「精通」の字義
「精」とは
「精」は、音読みで「セイ・ショウ」、訓読みで「しら-げる・くわ-しい・もののけ・こころ」と読みます。「精」には「まじりけがない・選り抜き」や「心・魂」など多くの字義があります。
「精通」においては、「精」は「細かい・詳しい」、または「生殖のもととなるもの」という意味です。
「通」とは
「通」は、音読みで「ツウ・ツ」、訓読みで「とお-る・とお-り・かよ-う」と読みます。「通」にも「行き来する」や「一般的によく行われ、広く行き渡っている」などの多くの字義があります。
「精通」においては、「通」は「詳しく知る」、または「とおる・届く」という意味です。
「精」+「通」
1の意味での「精通」は、「詳しい・細かい」や「詳しく知る」という似た意味の言葉を重ねて「詳しい」ことを強調していることが分かりますね。
一方、2の意味での「精通」は、「生殖のもととなるもの(=精液)」が男子の生殖器を「とおる」ことを表しています。
「精通」の使い方
ここでは、「精通」の「ある物事について詳しく知っていること。物事によく通じていること」という1の意味での例文をご紹介しましょう。
【例文】
- 歴史おたくのA君は、特に世界史に精通していて、社会科の先生もかなわない。
- 鉄道ミステリー作家B氏は、列車の時刻表に精通していて、乗り換えのトリックがすばらしい。
- 派閥の力学で外交音痴の議員が外務大臣に就任したが、外交に精通した各国の閣僚から陰で笑われている。
- 警視庁サイバー犯罪対策課には、IT技術に精通したスペシャリストが集められている。
「精通」の類語
1の意味の「精通」の類語には次のような言葉があります。
「熟達」
「熟達(じゅくたつ)」とは、「ある物事に熟練(じゅくれん)して、上手になること」です。「精通」は知識があって手段・方法など多くのことに詳しい場合、他方、「熟達」は手段・方法に詳しくて技術が優れている場合に使われます。
【例文】
- 父は長年タクシー運転手として、熟達した運転技術を持っている。
- 帰国子女の彼女は、日本語だけでなくフランス語にも熟達している。
「通暁」
「通暁(つうぎょう)」には、①「ある物事をすみずみまでよく知っていること。非常に詳しい知識を持っていること」と、②「夜通し」という意味があります。①の意味は「精通」とほどんど同じです。
【例文】
- 彼はオペの天才と言われる脳外科医だが、専門以外の多くの医学についても通暁している。
- 私の高校の古典の先生は、大学教授も一目置くほど古典に通暁しているらしい。
「知悉」
「知悉(ちしつ)」は、「ある物事について、知り尽くしていること。細かい点までよく知っていること」を意味する言葉です。「悉」は、訓読みでは「ことごと-く」と読み、「すべて。つぶさに。きわめつくす」という意味があります。
「ことごとく知り尽くしている」ことから、「知悉」という言葉になるわけですね。「知悉」も「精通」とほとんど同じ意味の言葉です。
【例文】
- 彼は、迷路のようなこの町の地下街をすみずみまで知悉している。
- ライバル同士の二人の棋士は互いの手の内を知悉しているので、盤面は膠着状態が続いた。