「朴訥」の意味とは
「朴訥」(ぼくとつ)は、自分をよく見せようとする気がなく、口数が少ない人の様子のことです。「木訥」とも表記します。
「朴」の字義は、もともと木の皮や「ほお」の木のことですが、飾り気がないという意味合いでも用いられます。「訥」の字義は、言葉がなめらかに出ずにどもる、口下手ということで、口数が少ないことを表しています。
「朴訥」の使い方
「朴訥な人」は、口下手なところがあり、機転を利かせた受け答えや、相手を喜ばせる会話は難しいかもしれませんね。それでも、「朴訥」は、人柄を褒める意味合いで使う方が多いです。口数が少なくても自分を飾ることなく信頼できそうな人とイメージできます。
「朴訥な人」は、おとなしく、噂や見え透いたお世辞などの余計なことをうるさく話さない様子から、かえって裏表がなく素直である印象が強くなるのです。
「朴訥」の例文
- 料理の腕はもちろんだが、大将の朴訥な人柄にひかれてお店に通う客も多い。
- Aくんは朴訥な性格で、口が固く多くの人から信頼されています。
- 一見地味に見えても、朴訥な男性とお付き合いした方がいいよ。
- お客さまから「あなたの従弟さんは真面目で朴訥な好青年ですね」とお褒めの言葉を頂戴(ちょうだい)した。
「朴訥」を使ったことわざ
「朴訥」を使ったことわざに「剛毅朴訥は仁に近し」(ごうきぼくとつはじんにちかし)があります。意味は、意志が強く口数が少ない者は、儒教の理想である"仁"に近い性質を持っているということです。
「剛毅」は、意志が強く諦めないこと、「仁」は、人に対する思いやりや慈しみの心を指しています。互いに共生することの大切さを説く概念です。「仁」は、儒教の理想である五徳(ごとく:仁・義・礼・智・信)の1つです。
「剛毅朴訥は仁に近し」の出典は、孔子の教えをまとめた儒教の経典『論語』の「子路」です。弟子の子路との問答をまとめたところに書かれています。