「雁字搦め」とは?意味や使い方をご紹介

「雁字搦めにされて身動きが取れない」のように使われる「雁字搦め」とはどういう意味でしょう。「がんじがらめ」という読み方であることが分かれば、察しがつく人も多いかもしれませんね。今回は「雁字搦め」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「雁字搦め」の意味
  2. 「雁字搦め」の使い方
  3. 「雁字搦め」の関連語
  4. 「雁」を用いた成句

「雁字搦め」の意味

雁字搦め(がんじがらめ)」は「雁字搦(がんじがらみ)」とも言い、次のような意味があります。

  1. ひもや縄などを縦横に何重にも巻きつけて縛ること。
  2. 強い制限を受けることで自由に身動きがとれなくなること。

2の意味にある「制限」は、身体的なものだけでなく、精神的なものも含みます。

「雁字」とは

「雁字」とは、雁(がん・かり)が並んで空を飛んでいる様子を表す言葉です。雁は群れで生活する鳥で、飛ぶときには並んで飛ぶ習性があります。漢数字の「一(いち)」のように一列に並んで飛ぶさまを文字にたとえて「雁字」と言うのです。

また、「雁字」には「手紙」という意味もあります。これは、中国の前漢の時代に、匈奴という国に捕らえられた漢の名臣が、雁の脚に手紙を結びつけて漢帝に送ったという故事に由来しています。

「搦め」とは

「搦め」は「搦める」(からめる)の名詞形です。「搦める」には複数の意味がありますが、ここでは「とらえて縛りあげる・縛る」という意味です。

「雁字搦め」の使い方

1.巻きつけて縛る

  • 天気予報によると今日は風が強いらしいので、お店の看板を雁字搦めに木に縛りつけておいた。
  • 無銭飲食で逃げた男を捕まえた店主は、逃げられないように頑丈なひもで雁字搦めにした。

2.自由に身動きがとれなくなる

  • 私が通っていた高校はとにかく校則が厳しく、生徒たちは規則で雁字搦めにされていた。
  • 昔から続く伝統を守ろうとすればするほど雁字搦めになっていくことに違和感を覚える。

「雁字搦め」の関連語

1.巻きつけて縛る

縛り上げる(しばりあげる)
「縛り上げる」は、しっかりと縛るという意味です。ひもや縄などを何重にも巻きつけて、動きがとれないくらいにしっかりと縛ることを表します。「自由に動けないように両手両足を縛り上げる」のように使います。

緊縛(きんばく)
「緊縛」とは、きつく縛ることです。「犯人を緊縛する」「荷物を緊縛する」といったように人や物に対して使うだけでなく、「思想に緊縛される」のように精神的に縛られているさまに対しても用いられます。

絡み付ける(からみつける)
「絡み付ける」は、巻き付かせるという意味です。しっかりと絡み、すぐにはほどくことができない状態を表します。「足にロープを絡み付ける」のような使い方ができます。

2.自由に身動きがとれなくなる

拘束(こうそく)
「拘束」には、行動や判断、選択などの自由を制限することという意味があり、「規則に拘束される」のように使います。また、ニュースなどでよく見聞きする「身柄を拘束する」というときの「拘束」は、捕らえることで行動の自由を奪うという意味です。

制約(せいやく)
「制約」とは、条件などを課すことで、自由に行動できないようにすること、あるいは、自由にさせないための条件そのものという意味です。「仕事柄、さまざまな制約を受ける」のように使います。

絆される(ほだされる)
「絆される」は、身体の自由を制限される、または、思いやりや人情によって気持ちや行動の自由が縛られるという意味を持つ言葉です。現代ではおもに後者の意味で、「彼の母を思う気持ちに絆される」のように用います。「きずなされる」と読まないようにしましょう。

束縛(そくばく)
「束縛」は、制限を加えることで、思想や行動などの自由を奪うことです。つないで捕らえることという意味もあります。「個人の考えを束縛する」「縄で束縛される」などの使い方ができます。

「雁」を用いた成句

「沈魚落雁」

沈魚落雁(ちんぎょらくがん)」は、美人のたとえとして使われる言葉です。「沈魚」は水底に魚が沈むことを、「落雁」は雁が地上に降りることを意味します。「彼女は沈魚落雁という表現がぴったりの美人だ」のように用いられます。

もとは、人にとって美しい人であっても、魚や鳥にとっては恐れて逃げる存在であることを表し、人間が容姿の美醜を差別することへの否定を表していました。しかし、後に、魚も雁も美人の前では恥じらって身を隠すことを指すようになったのです。

「後の雁が先になる」

後の雁が先になる(あとのかりがさきになる)」は、後ろに居た者が前に居る者を追い越して順序が逆になることを表した言葉です。

学問や技術、組織などで後輩が先輩を追い越して出世することのたとえとして、「のんびりしていると後の雁が先になるよ」のように使います。

また、「若い彼を老いた私が見送るとは…後の雁が先になるなんて悲しいことだ」のように、若い者が先に亡くなることをたとえる場合もあります。


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