「ファンシー」の意味
「ファンシー」とは、英語「fancy」に由来する言葉で、「空想、幻想、想像」および「装飾的で、趣向を凝らしたさま」が根本の意味です。
この根本的意味から派生して、日本語(カタカナ語)において「ファンシー」といった場合には、「小さな子ども、特に女の子が好むような夢と幻想で彩られた装飾的なデザイン、雰囲気、およびそれらを愛好する趣味」を指すのが一般的です。
原語の「fansy」はもう少し幅広い意味があるため、「ファンシー」もさらに派生的な意味を持つ場合がありますが、詳しくは後述します。
「fansy」の語源
「fansy」は、「fantasy」(ファンタジー:空想、幻想、夢想)を縮めた言葉です。「ファンタジー」という言葉とも関連が深いことを覚えておくと、「fansy」の理解がいっそう深まるでしょう。
「fansy」「fantasy」の語源は「pha-」(出現する)であり、同語源の言葉としては「phantom」(幻影)、「phase」(位相、形勢)、「phenomenon」(現象)などがあります。
「ファンシー」の使い方
「少女趣味」のイメージ
日本語の「ファンシー」のイメージは、例えば、女児~少女向けの「中世のお姫様が着るようなフリルいっぱいのドレス」や「白馬の王子様が迎えにくる感傷とロマンにあふれた物語」などが代表例です。
「ファンシー」はいわゆる「少女趣味」の有りようをそのまま抽出したような言葉ですので、(性別にかかわらず)成人や、男児のイメージにはそぐいません。もし「ファンシーなものが好き」と公言したならば、子どもっぽい、女の子っぽいという印象をもたれるでしょう。
とはいえ、他人に迷惑をかけない限りは、個人の趣味・嗜好がどうあろうとも本来的に自由です。成人男性がファンシーグッズを収集していても何らおかしなことではありませんし、そのような人はあなたの周りにもいるかもしれません。
例文
- 彼女はファンシーショップに通い詰めては、毎週新しいぬいぐるみを買う。馬鹿にする人もいるが、好きなものを突き詰める姿勢は評価したい。
- 小学生の運動会向けのイラストを依頼された。子ども向けだから、デフォルメされたウサギとキツネが競い合う、ファンシーなイラストにしよう。
- 世の中には、フリル付きのフォークやスプーンといった、実用性度外視のファンシーグッズが存在する。
英語の「fancy」について
英語の「fansy」は、日本語の「ファンシー」よりも非常に広いニュアンスがあります。「名詞」「形容詞」「動詞」の品詞に分けて解説しましょう。
名詞の「fansy」
名詞の「fansy」は日本語の主な意味である「想像、幻想」のほか、「思いつき、直感」「好み、道楽」「愛好家」といった意味です。
「自由で型にはまらない想像」という意味が核ですので、よくも悪くも「空想や非現実的な妄想」に準じた意味が並びます。「愛好家」の意味は少々わかりにくいかもしれませんが、「想像力を働かせるものは好きなものについてである」と考えましょう。
「That's only your fancy」であれば「それは君の気のせいだろう」。「He has a fancy of animals」とすれば「彼は動物愛好家だ」と訳すことができます。
形容詞の「fansy」
形容詞の「fansy」は、「装飾的な、凝った」「特別の、変わった」「高等技術の」といった意味です。日本語の「ファンシー」ように「少女趣味の~」というイメージはなく、「手の込んだ」「離れ業の」というニュアンスです。
例えば「fansy shoes」であれば「洒落た靴」であり、「fansy cake」は日本語でいう「デコレーションケーキ」です。日本語で装飾された紙のことを「ファンシーペーパー」と呼ぶのはこの意味です。
ただ、「fansy」は「手が込みすぎている」というマイナスのニュアンスもあることに注意しましょう。例えば人間を「fansy」と形容したら、「派手で、気取ったやつ」という意味である可能性があります。
動詞の「fansy」
動詞の「fansy」は基本的には「想像する」「試しに考えてみる」「そのような気がする」という意味なのですが、話し言葉の中では「好きである、~したい」「何となく惹かれる」という意味もあります。
「love」に比べると好意はダイレクトではなく、「何となく好き」「どれかと言われればこれかな」というニュアンスです。しかし人間、特に異性に対して使うのであれば間違いなく「惚れる」というニュアンスとなるでしょう。
例えば「I fansy her」であれば、「彼女のことをよく考える、想像する」≒「彼女が気になる」≒「彼女が好きだ」という解釈ですね。