「高じる」とは?意味や使い方を類義語を含めてご紹介

「高(こう)じる」という言葉をご存じでしょうか。「趣味が高じる」「病が高じる」などというように使われますが、日常会話ではあまり使う機会がないかもしれませんね。この記事では、「高じる」について、意味や使い方を類義語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「高じる」とは
  2. 「高じる」の使い方
  3. 「高じる」の類義語

「高じる」とは

「高じる」は、文語の動詞「高ずる」が変化した言葉です。意味は、①「程度がはなはだしくなる」、②「病状が悪化する」と二つあります。

「嵩じる」と「昂じる」

「高じる」は、「嵩じる」や「昂じる」と表記されることもあります。「高」は「程度が高い」こと、「嵩」は「他と比較して程度があがる」、「昂」は「高く上に上がる」という意味です。

「嵩」と「昂」は常用漢字ではないため、公用文や新聞など一般的な文章では「高じる」が使われています。しかし、小説などでは「嵩じる」や「昂じる」が用いられることもあります。

「高じる」の使い方

以下の例文の一番下は②の「病状が悪化する」という意味、そのほかは①の「程度がはなはだしくなる」という意味で用いられています。

【例文】

  • 父は、趣味のカメラが高じて会社を退職し、カメラ店を開いてしまった。
  • Aは、Cさんへの感情が高じて、ストーカー行為をするようになった。
  • 政治不信が高じて、大規模なデモが発生した。
  • 彼女はヒステリーが高じると恐ろしく攻撃的なることがある。
  • 母は、持病が高じて入院することになった。

「高じる」の類義語

「高ぶる/昂る」

「高ぶる/昂る(たかぶる)」は、①「気分や感情が高まる。興奮する」、②「えらそうに振る舞う。尊大な態度をとる」という意味があります。①の意味で「高じる」と同様に使われますが、感情面の変化を表す表現で、趣味などの物事には使うことがありません。

【例文】

  • 彼女は、あまりに神経が高ぶったために過呼吸を起こして病院に運ばれた。
  • 演奏を始める直前になると、それまで高ぶっていた気持ちがすっと静まっていた。

「激化する」

「激化(げきか)する」とは、「以前よりも激しくなること、ひどくなる」ことを言います。「程度がはなはだしくなる」ことですが、競争や対立などを表現するときに使われることが多い言葉です。

【例文】

  • 私の町では、コンビニの出店競争が激化している。
  • 大臣のスキャンダルで与党と野党の対立が激化し、国会運営に支障をきたしている。

「度を超す(度を過ごす)」

「度を超す(度を過ごす)」は、「普通以上にやりすぎる。適切な程度を超える」ということを表しています。「度」には、「物事の程度や限界」という意味があり、「限界を超える」というニュアンスで使います。

「高じた」結果から生じた状態を「度を超す」と言えますが、その程度や限界は人や環境によって大きな差があり、明確な線引きは困難です。

【例文】

  • 歓迎会で飲酒の度を越してしまい、翌日は二日酔いで仕事にならなかった。
  • 彼が言った冗談は度を越していたため、相手と大喧嘩になってしまった。

「増長する」

「増長(ぞうちょう)する」は、「次第に大きくなること。ひどくなること。つけあがること」を意味する言葉です。この言葉も「程度がはなはだしくなる」点で「高じる」の類義語と言えるでしょう。

【例文】

  • 彼はちょっとほめるとすぐに増長するから注意したほうがいいよ。
  • 子供が悪いことをしたときはちゃんと叱らないと増長してもっと悪いことをするようになる。

なお、仏像の四天王の一つに「増長天(ぞうちょうてん・ぞうじょうてん)」がありますが、この「増長」は、サンスクリット語のビルーダカ・デーバ(成長したもの。増大した)が漢訳されたもので、「増長する」とは特に関係がありません。

「エスカレートする」

「エスカレートする」とは、「物事の規模や程度が段階を追って徐々に大きくなったり、激しくなること」で、「激化する」と同様の言葉です。

英語の「escalate」は、「段階的に拡大する」という意味です。この英語は、アメリカのオーティスエレベーター社の開発した商品「動く階段」の商標用語である「エスカレーター」から派生した言葉です。

「エスカレーター」と一緒に「escalate」という言葉も日本に導入され、そこから「エスカレートする」というカタカナ言葉が生まれました。

【例文】

  • 特定の人に対する悪ふざけがエスカレートすると、「いじめ」と区別がつかなくなる。
  • はじめは民衆の小さな反抗だったものがエスカレートして革命につながった。


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