「クール」の意味
「クール」には以下のような意味があります。
- 涼しく爽やかなさま、清涼
- 超然とした、醒めたさま
- 放送における連続番組のひと区切りの単位
- 治療の意、治療期間、治療の周期
「クール」の例文
- 待ち合わせ場所に現れた彼は、タンクトップにハーフパンツという、なんともクールな装いだった。
- クールな彼女の意外な一面を見る
- 今期は面白いドラマがなかったから、春クールに期待しよう
- 2クール目の治療を終えた頃から症状が緩和してきた
このように日本ではひとまとめに「クール」と表記されますが、実は意味ごとに元となる言葉が違います。
「クール」の語源
英語の「クール」
英語の「cool」は「冷たい・涼しげ・冷静・冷淡」といった意味を持つ言葉です。カタカナ語「クール」の「涼しく爽やかなさま」「醒めたさま」という意味は、この「cool」が元となっています。
また、「cool」はスラングとしても浸透しています。スラングの「cool」は文脈によりニュアンスの変わる相槌なので、意味を特定するのが難しいのですが、おおむね「いいね」「へえ~」「すごいね」「イケてる」「なるほどね」といったような意味合いで用いられます。日本のスラング「それな」に近い汎用性の高さですね。
「cool」が「イケてる」という意味を持つためか、「醒めたさま」という意味の「クール」は一般的に褒め言葉として使用されます。単に熱量を感じないということでなく、「超然とした態度がカッコいい」というニュアンスが含まれるのです。
フランス語の「クール」
放送業界で用いられる専門用語「クール」は、「期間」を意味するフランス語の「cours」が元となっています。
- 第1クール…1~3月末
- 第2クール…4~6月末
- 第3クール…7~9月末
- 第4クール…10~12月末
放送用語「クール」の定義は上記のとおりで、一般的に1クールは四半期休まず放送した場合の回数「13回」を指します。ただし昨今はテレビ離れの影響から、放送回数や構成には変化が生じつつあるようです。
ドイツ語の「クール」
「治療期間、治療の周期」を意味する「クール」は、「カルテ」や「クランケ」、「ギプス」といった用語と同様、ドイツ語の「kur」を元にしています。
そもそも日本の医療用語にドイツ語由来のものが多いのは、西洋医学を取り入れる際にドイツの医療を参考にしたためです。
前野良沢・杉田玄白が発表した『解体新書』の元となった医学書『ターヘル・アナトミア』も、ヨハン・アダム・クルムスというドイツ人医師が著したものなんですよ。
ただし昨今では、医療用語がドイツ語から英語へと移行しつつあるようで、「クール」ではなく英語由来である「コース」が用いられる場合もあります。
「クール」の関連語
クーラー
「クーラー(cooler)」とは「冷却器」のこと。日本では一般的にエアコンの冷房機能のことを指しますが、他にも「クーラーボックス」や「CPUクーラー」などの用語があります。
クールビズ
「クールビズ(COOL BIZ)」は、環境対策の一環として行われる「軽装キャンペーン」です。英語の「cool」と「business」をかけ合わせたこのネーミングは、2005年に一般公募のなかから選ばれました。
クーリングオフ
「クーリングオフ(cooling-off)」は、「特定の契約に限り、定められた期間内であれば無条件で契約解除・申込撤回ができる」という制度のことです。「cooling」は本来「冷却」という意味ですから、「一旦頭を冷やして購入について再考する」という状況をイメージすれば、意味が理解しやすいかもしれません。
かなりざっくりとした説明になりますが、「クーリングオフ制度」は、おおむね「本当に契約・購入すべきかどうか、じっくり考える時間がないタイプの販売(契約)形態」に適用される制度です。
たとえば訪問販売は、業者の方から自宅を訪ねてきて、その場で商品を購入しますよね。「その場ではセールスマンのウリ文句にのせられて買う気になったけれど、後々考えたらやっぱり必要のないものだった」ということがあるわけです。
そういう場合に、契約から定められた期間のうちであれば、購入を無条件で撤回できるのが「クーリングオフ制度」です。逆に自分でじっくり購入を見定めることができるような形態、たとえば通信販売(電話勧誘を除く)のようなものは、クーリングオフの適用範囲外なのです。