「推測」の意味
「推測(すいそく)」とは、「ある事柄に基づいておしはかること」です。「おしはかる」とは「既知の事柄をもとにして未知の事について見当をつけること」を意味します。
つまり、「物事の事情や心中を既知の事柄から想像すること」を「推測する」と表現します。「推測」は「過去に起きた事象」や「これから起こる事象」の両方に使うことが出来る言葉です。
「推」も「測」ともに単独で「おしはかる」という意味を含んだ漢字で、「推定」「推理」「予測」など様々な熟語を形成します。訓読みで「推す(おす)」と「測る(はかる)」と読めるため、「推測」はそのまま「おしはかる」と読むことが出来ます。
「推測」の使い方
上記のとおり、「推測」は「既知の事実」が根拠なので、ただ想像しただけよりも信頼性の高いものになります。また「推測」は「人の感情」や「ビジネス」「世界情勢」まで幅広い使い方が可能です。
しかし、「推測」には「推量」や「推察」「予測」など多くの似た言葉があるため違いを把握した上で使うことが求められます。
「推測」を使った例文
- 彼女が怒って帰ってしまった理由を推測するに、私が待ち合わせに遅刻した上、謝罪しなかったことにあるのだろう。
- その刑事は犯人の動機を推測し、容疑者を1人に絞り込むことを得意としている。
- 前年度の売り上げから推測するに、利益を出すには冬の季節にどれだけ売り上げを伸ばすかがポイントだろう。
- 今回の山火事の原因を現場から推測するに、タバコのポイ捨てが原因と思われる。
「推測」に似た言葉
「推量」
「推量(すいりょう)」とは、「おしはかること。おもいやること」です。「物事の事情や心中をおしはかる」という意味においては「推測」と共通した言葉です。
「推量」は、「推測」よりも意味を大きく捉えることができ、「ある程度の経験や知識」から想像することも「推量」に含まれます。つまり「推量」の中でも「信頼性のあるデータ」を基に想像することを「推測」と言います。
「当て推量」という言葉は、「根拠なしに考えること」を指しますが、このように「推量」は信頼性の低いものから信頼性の高いものまで幅広く使える言葉です。
「推察」
「推察(すいさつ)」とは、「事情や相手の心中をおしはかること。思いやること」です。「察」には「おしはかる」以外に「詳しく調べ考える」という意味があります。つまり「推察」とは「推測」よりも事を明確にする意味合いが強い言葉です。
また「推察」は、相手の心中を察した上で「思いやる」ことに重点を置いた言葉になります。「推測」にも「思いやる」という意味は含まれますが、「推察」と違い「おしはかる」ことに重点を置いています。
使い方としては、「遺族の心中を推察するにいたたまれない気持ちだろう」のようになります。この場合は「遺族の心中を思いやるに」と置き換えることも可能です。
「予測」
「予測(よそく)」とは、「あらかじめ推測すること。前もっておしはかること」です。しかし、「予測」は「未来」の事柄のみをおしはかる時に使われる言葉です。「推測」は、「過去」「未来」両方で使える言葉のため2つの言葉には違いがあります。
例えば、「遅刻した原因」について、「推測」はできても「予測」は出来ません。「遅刻した」という事象は過去のものであり、未来をおしはかる言葉である「予測」は適当ではないからです。
「予測」は、「着地地点を予測する」や「こんな結果になるとは(あの時は)予測できなかった」のような使い方をします。いずれも現時点より未来のことをおしはかっています。
「憶測」
「憶測(おくそく)」とは、「物事の事情や人の心をいい加減におしはかること」です。「臆測」とも表記されますが、意味は変わりません。「事情や心中をおしはかる」という点では「推測」と同義ですが、「いい加減」というニュアンスは「憶測」だけのものです。
「推測」が客観的とするならば、「憶測」は主観的で自分の想像でもって事をおしはかります。事実やデータを基にした「推測」に比べると信頼性も低くネガティブな言葉かもしれません。
使い方としては、「憶測でものを言うなよ」や「それには何の根拠もない。全ては君の憶測だ」のようになります。「憶測」でものを言うことはあまり好ましいとはされていませんので注意した方が良いでしょう。