「みてくれ」とは?
「みてくれ」とは、「みかけ、外見、見栄え」および「身なりや身振りなどを見せびらかすこと」という意味の言葉です。
漢字では「見て呉れ」と書き、この「呉れ」は、「他人に物を与える」という意味の「くれ」です(例:ほしいなら呉れてやろう)。
特に、「見て呉れ」のように動詞の連用形につく場合は、「自分が相手のためにその動作をしてやる」意を表します。よって、「見せびらかす」という意味があるわけですね。
注意点:動詞ではない
この記事でご紹介する「みてくれ」は名詞であり、「これをみてくれよ」「明日、子供をみてくれる?」といった動詞的な「みてくれ」とは意味・使い方が異なりますのでご注意ください。(「語源」の項もご参照ください)
「みてくれ」の使い方
「みてくれ」は、広く「外から見た物事の様子」について、主に「良い/悪い」といった価値基準を加えつつ使います。
「様子」とは、人間の服装や容姿などが代表的ですが、「料理のみてくれ」「家のみてくれ」など物の見た目についても使用可能です。
「みてくれ」の一言で「見せびらかす、他人の目につく」という意味も表せますが、この意味は現代語ではあまり使われていません。
「みてくれ」の持つイメージ
「見かけ」は、多くの人が最初に認識する部分ですから、「みてくれ」の良さは公的な場所であればあるほど重視される傾向があります。
例えば、もしあなたが「テレビに映る」と言われたら、ちょっと服装を気にしたり、髪を梳いたりしたくなるかもしれません。それが「みてくれを気にする」状態です。
しかし、見かけは「うわべ(表面)」でしかありません。よって、「みてくれは悪いが、中身(本質)は良い」といった逆接的な表現もよく見られます。
例文
- 観光都市の中心には、みてくれのいいモニュメントが新たに建てられた。
- SNS上に挙げる写真は、みてくれの良いものを選ぶ。
- 君はみてくればかり気にして、社会的な良識を欠いている。精神的にも高い領域になければ、人は離れていくばかりでしょう。
- 一度彼女の料理を食べてみてくれ。みてくれはひどいが、味は絶品なんだ。
「みてくれ」の語源
「みてくれ」の語源は、「これを見てくれ」と他人の注意をひいて外見や体裁を見せびらかす意であると考えられています。
あまりにも単純な由来で、びっくりした方も多いかもしれません。「外見」というものは、それだけ人間にとって大きなウェイトを占める情報源であり、「みてくれ」を自慢の種とする方は古来から多かったのかもしれません。
「みてくれ」の類語
「みてくれ」の類語としては、これまで記事内でも解説に使ってきた「外見」「見かけ」「うわべ」などが代表的です。他にどんな言葉があるか、文語的な表現をふたつ挙げてみましょう。
皮相
「皮相」(ひそう)とは、「うわべ、表面」「表面を見ただけの、浅くて不十分なこと」を意味する言葉です。
「皮」は、「何ものかを覆って外面を作るもの」の意です。人間にも「皮膚」がありますが、皮膚だけを見てその人のことを内面まで含めてすべてわかった気になるのは、「皮相的な態度」といえるでしょう。
【例文】
- 私たちは、地球のほんの皮相部分を知っているに過ぎない。
- 専門家は、彼のいかにも皮相的な見解を非難した。
辺幅
「辺幅」(へんぷく)とは、織物などのへりの部分の意であり、転じて「外から見たみなり、格好、うわべ」を意味する言葉です。その字の通り、「辺の幅」という意味でも使われますので注意しましょう。
人間の態度などを表す言葉として、「辺幅を飾らない」(意味:うわべをとりつくろわない)という慣用表現が知られています。
【例文】
- 彼は、富豪の家に生まれながらも、辺幅を飾らない素直で淡々とした人柄だった。
- 辺幅を考慮して、ひとつ大きな用紙サイズを採用する。