「人心地」とは?意味や使い方をご紹介

仕事が一段落して「人心地がついた」と感じたことや言葉にしたことはありませんか。「心地よい」とか「生きた心地がしない」といった気持ちを抱いたことがある方も多いのではないでしょうか。この記事では、「人心地」に加えて「心地」についても意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「人心地」とは
  2. 「人心地」の使い方
  3. 「心地」とは
  4. 「人心地」の類語

「人心地」とは

「人心地(ひとごこち)」とは、「緊張から解放されて、ほっとくつろいだ気持ちや、生きているという感じ」のことです。さらに古典の用法として「人ととしての正常な感覚や意識、あるいは平常心」という意味もあります。

緊張や忙しさで自分を見失っている状態から解放され、一段落した時に「人心地ついた」と言います。「人心地」や、後述する「心地」は、人の心の状態をうまく表した言葉です。

「人心地」の使い方

「人心地」は、「人心地がつく」という慣用表現で使われることが多い言葉です。何かをやり遂げたり、安心したりした時の「ほっとする」感情を表すことができます。

例文

  • 喪主を務めて慌ただしく過ごしたが、四十九日の法要を終えて、やっと人心地がついた。
  • 空腹が満たされて人心地ついたら、急に眠くなってきた。
  • 重要なプレゼンを終えて自席に戻り、ようやく人心地がついた。
  • 初めてバンジージャンプにトライしたが、飛んだ瞬間は恐ろしくて人心地もなかった。

「心地」とは

「心地(ここち)」が使われた表現は、「人心地」以外にも多く挙げられます。ここで、改めて「心地」の意味を整理しておきましょう。

  1. 人が物事に対したときに起こる心の状態。心持ち。気持ち。気分
  2. 考え。思慮。心構え。
  3. 気分が悪くなること。病気。
  4. ~のようなありさま。~の感じ。様子。気配。風情。

「人心地」をはじめ、「住み心地」「居心地」「心地よい」などは、1の意味が反映されています。ただし、「心地」そのものに何かしらの感情は含まれません。気分の良し悪し、感情を示す表現を伴って、さまざまな心情を表します。他方、2~4は、主に古典などに見られる使い方です。

例文

  • 握手会で憧れのアイドルと直接話ができて、夢見心地だ。
  • 彼の乱暴な運転に、生きた心地がしなかった。
  • 彼女がプロポーズを受けてくれた時は、天にも昇るような心地がした。
  • 猛暑の中、飛び込んだ喫茶店の冷房の風が心地よく、生き返ったような気分だ。

「人心地」の類語

「安心」

「安心」は、「不安や心配がないこと。心が安らかなこと」を意味しています。「ほっとしてくつろいだ」心持が「人心地」と似ています。仏教では「あんじん」と読み、「信心によって、迷いがなくなる境地」のことを言います。

【例文】

  • 就活は決してスムーズではなかったが、年末になってようやく内定を取り、両親を安心させることができた。
  • 病状は快方に向かったが、まだ安心はできない状態だった。

「安堵」

「安堵(あんど)」は、「安心すること。不安がなくなり落ち着きを取り戻すこと」という意味を持っています。この言葉も「安心」と同様、ほっとする心情を表し、「人心地」に似た言葉です。

【例文】

  • 台風の激しい風雨が吹き付けて家全体がきしんでいたが、夜半には落ち着いたので、ようやく安堵して眠りについた。
  • 山で行方不明になった友人が無事に救助されたと聞き、安堵した。

「放心」

「放心」には、二つの意味があります。

  1. ほかのことに心を奪われてぼんやりすること。魂が抜けたようになること。
  2. 気にしないこと。安心すること。

「人心地」ついてすぐ、ぼんやりと「放心」したような感覚を抱くこともあるでしょう。この場合は、「人心地」と1の意味がグラデーションのように続いていると言えるかもしれませんね。

2の意味は、自分から他者に対して「(心配しないで)安心してくださいね」というニュアンスで「ご放心ください」と使うことがあります。ただし、この用法はあまり使われるものではありません。

【例文】
  • 連日、あまりの忙しさに、仕事が終わった後、しばらく放心状態になっていた。
  • 大地震の惨状を目の当たりにして、彼は放心したようにただ立ち尽くすばかりだった。
  • 怪我はすっかりよくなりましたので、どうぞご放心ください。


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