「こそすれ」とは?意味や使い方を例文を含めてご紹介

「こそすれ」は、現在は接続詞のように使われることが多い言葉です。肯定する内容に対して「こそすれ」でつなぎ、その後に否定する意味の文章を付ける形がほとんどでしょう。「こそすれ」の意味や使い方を古文も交えた例文を含めて説明します。

目次

  1. 「こそすれ」の意味
  2. 「こそすれ」の使い方
  3. 「こそすれ」古文の例

「こそすれ」の意味

「こそすれ」は、前の文章を肯定して、後にくる文章を強く否定する言葉です。逆説の接続詞の意味を持ち、後に続く文章には否定や打ち消しの助詞や助動詞などを使います。「~するけれども(ではあるが)、~は絶対にない」といった意味合いです。

「こそすれ」には古文でいう係り結びの法則(係助詞「こそ」の後に動詞の已然形が付く)が適用されています。「すれ」は「す」(行う・ある状態におくといった意味合い)の已然形です。

「こそすれ」の使い方

「〇〇こそすれ、××ない」で「〇〇」にあたる前の文章が本音もしくは事実で、後にくる文章はそうではないと、部分的に否定することも可能です。前後の文章で全く逆の意味となる場合もあります。

「こそすれ」を使って、自分の気持ちを述べるのに用いることもできるでしょう。「こそ」に強調の意味があることから、以降の事柄が「絶対に~することはない」と実現する可能性はゼロであることを強く主張できます

「こそすれ」の例文

  • 忠告してくれたAさんに感謝こそすれ、恨むつもりはない。
  • 厳しい先輩には御礼の気持ちこそすれ、いじめだとそしることはまずないですね。
  • 自身の力の無さを痛感こそすれ、皆を責める気持ちなどありません。
  • あなたを憎みこそすれ、実際に攻撃しようと考えたことはないですよ。

「こそすれ」古文の例

音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ(おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ)

小倉百人一首の72首めの歌で、祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけきい)の作です。この歌は男性からのお誘いを断る返事なのです。

「こそすれ」が文末にあり、「ぬれ」を強調する意味で使われています。掛詞(2つの意味がかかっている言葉)を上手く利用して、言外の気持ちを上手く表しています。

【掛詞】

  • 「高師」…浜の名前・人物の評判が高い
  • 「かけじや」…波をかけまい・思いをかけまい
  • 「あだ」…虚しい・浮ついている
  • 「ぬれ」…波が袖にかかって濡れる・涙で袖が濡れる

【現代語訳】
噂に聞いている「高師の浜(大阪府)」に虚しく打ち寄せる波はかけないように気をつけます。袖が濡れますからね。(世間で浮気な人と名高いあなたのお誘いを真に受けて、思いをかけないように気をつけましょう。恋に悩んで涙で袖を濡らすでしょうから。)

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