「つきましては」の意味
「つきましては」とは、「何かが何かについて（付いて／就いて）いる」意を丁寧に表す言葉（敬語）であり、以下のように2つの意味があります。
- （文頭で、先行する文脈を引き継いで、接続詞として）そこで～、そのため～、したがって～、というわけで～
- （文中で、直前の話題を指して）〇〇については～、〇〇に関しては～
語の分解
「つきましては」を分解すると、「つき（つく）」「まして（ます）」「は」であり、「つく」ことを「ます」で丁寧にし、最後に助詞「は」でその物事を取り立てて話題にする意を表します。
「つく」は、「くっつく」「ついていく」などの「つく」であり、「つきましては」の場合は何らかの物事・話題をつなぐ接続詞のような役割を果たします。
「つきましては」から「ます」を外すと、「ついては」。こちらも「ついては、急ぎ荷物を送ってほしい」「その問題については～」などのように、「つきましては」と同じ意味で使うことができます。
「つきましては」の使い方
「つきましては」は、「ます」がついている通り敬語ですので、ビジネスシーンなどで相手への敬意をこめながら「話題の接続」「それに関連する言及」を表現したい際に重宝されます。
「つきましては」を「文頭」で使う場合と「文中」で使う場合、それぞれご紹介します。
文頭で「つきましては」
【例文】
- この度、労働組合より組織運営についての問題点が提起されました。つきましては、臨時の幹部会を招集しますのでご出席をお願いいたします。
- 前回の案件は大変すばらしい出来でした。クライエントからも大変良い評価をいただいております。つきましては、今回もぜひ〇〇様にこのお仕事をお願いいたしたく、ご連絡を差し上げました。
- ぜひ〇〇様に御礼申し上げたく存じます。つきましては、明日七時に〇〇ホテルまでおいでくださいませんか？
文頭に置かれる「つきましては」は、先行する文脈を受けてはいるものの、その文脈からは予測できない新たな話題がつながる場合があります（「そこで」と同様）。
よって、相手が「つきましては」という言葉を使用したら、そこで話題が切り替わっていると考え、どのような用件を言おうとしているのかを見極めましょう。
文中で「つきましては」
【例文】
- お問い合わせの件につきましては、現在確認中ですので今しばらくお待ちくださいませ。
- お手続きの方法につきましては、公式ホームページにも掲載しておりますのでご参照ください。
- その問題につきましては、この部署が対処に当たります。
以上のように、文中に置かれる「つきましては」はほぼすべて「〇〇につきましては」という形であり、「〇〇」についての話題であることを丁寧に言っているだけですからわかりやすいですね。
上記例文から「つきましては」を省いて「〇〇は」としても文意は通じることがおわかりでしょう。この場合、ある事柄を丁寧に扱っている意を表すためだけに、「つきましては」という言い回しを用いているわけです。
「つきましては」の類語
（文頭で）「従いましては」
「従（したが）いましては」は、前の文脈を受けて接続詞的に話題をつなげる役割を持つ言葉であり、「つきましては」と似た使い方が可能です。
ただし「つきましては」に比べると、「従いましては」は前の文脈をそのまま受け、話題の方向性を転換することなく、その話題の（当然の）帰結を述べる傾向にあります。
【例文】：今大会で、1位入賞選手の不正行為が確認されました。従いましては、当該選手を失格とし、2位以下の選手を繰り上げて入賞とします。
（文中で）「関しましては」
「関（かん）しましては」は、「関して（は）」に「ます」をつけて丁寧にした表現です。
「その件に関しましては」「それに関しましては」などの形で、文中の「つきましては」と同じように使うことができます。しかし、どちらかといえば「つきましては」のほうがやや丁寧な印象です。
【例文】：その件に関しましては、現在調査中です。詳細が判明し次第、ご連絡いたします。
（文中で）「おかれましては」
「おかれましては」は、主に「〇〇におかれましては」という形で、「〇〇」に関して言及をする際に用いる丁寧な表現です。
ただし「つきましては」とは違い、「〇〇」に入るのは人間か、その集合である組織・会社名などに限られますのでご注意ください。
【例文】：お嬢様におかれましては、先だって到着した手紙の内容にさぞ驚かれたことでしょう。