「巨躯」とは
「巨躯(きょく)」とは、「(並はずれて)大きな体」という意味の言葉です。相撲の力士やプロレスラー、バスケットボールの選手、歴史上の豪傑、あるいは巨人と言われている神話や伝説上の英雄などの体の大きさを表す言葉としてよく用いられています。
「巨」は、「大きい。多い。偉大な」という意味を持つ漢字です。「巨大な建造物」「巨万の富」「映画の巨匠」などのように使われます。
「躯」の意味と使い方
- からだ。肉体。
- (「からだが弱い」などの)健康状態。体力。
- (「からだで覚える」など生理的な)身体。肉体。
- 死体。なきがら。
- 仏像などを数えるのに用いる。
1~3の意味では「体」や「身体」を使うのが一般的です。4の用例は、主に古典で見られます。
「躯」の使用例としては、「躯体(くたい:建造物の骨組など全体を構造的に支える部分)」や「痩躯(そうく:やせたからだ)」などがありますが、これらも「巨躯」と同様、目にする機会の少ない言葉です。
「巨躯」の使い方
- 日本とアメリカのバスケットボール対抗試合では、NBAの選手たちの巨躯がコート上を軽やかに動き回って、日本チームを圧倒した。
- 私の彼は、身長2メートルを超える巨躯からは想像もつかないほど、とても身軽な男性だ。
- お台場にあるガンダムは、体長が20メートル近くもある巨躯を誇る。
- オンラインゲームの『ファンタシースターシリーズ』には、「巨躯の完全体」と呼ばれるキャラクターが登場する。
「巨躯」の類語
【巨体(きょたい)】
これは、漢字から「大きなからだ」ということがすぐにわかりますね。
【巨漢(きょかん)】
「漢」は、ここでは「男」のことを意味します「大きな男」という意味ですね。
【大柄(おおがら)】
「体格が普通より大きいこと」「模様の柄が普通より大きいこと」を意味します。前者の意味は「巨躯」の類語です。
《例文》
- 象は、陸上最大の動物だが、その巨体に似合わず、時速40キロメートルぐらいのスピードで歩くそうだ。
- 空港へ出迎えに来たのは、見上げるような巨漢だった。
- 彼は、大柄な女性が好みだそうだ。
「巨躯」と言われた英雄たち
神話や伝説、古典文学には「巨躯」と表現できるからだの大きな人物(神を含めて)が、たくさん登場します。その中のいくつかを紹介します。
「アトラス」
「アトラス」は、ギリシア神話に登場するティタン神族(巨人族)の一人です。ティタン神族は、オリュンポスの神々と戦いましたが負けてしまいます。その罰として、巨躯で怪力の持主アトラスは、世界の西の果てで天空を肩で支える役目を課されているのです。
「ゴリアテ」
旧約聖書の「サムエル記」には、「ゴリアテ」というペリシテ人の巨人兵士が登場します。身長が3メートル近い大男ですが、羊飼いの少年ダビデと戦って敗れます。ダビデとゴリアテの戦いは、多くの絵画や彫刻に残されています。
「三国志の英雄」
中国の『三国志演義』(通常「三国志」と言われています)には、多くの英雄豪傑が登場します。その中で巨躯の人物を二人紹介します。
蜀の劉備玄徳と若い時に義兄弟の契りを結んだ「関羽」と「張飛」は、ともに2メートルを超える巨躯の持ち主として記されています。二人とも勇猛な武将であり、数多くの武功をたてた豪傑です。特に「関羽」は、今でも軍神、そして商売の神として中国で祀られています。