「喧騒」とは?
「喧騒(けんそう)」は、人や物音でさわがしいこと、それらの音そのもののことです。たくさんの人が集まっていてにぎやかな感じ、時としてうるさそうな様子がイメージできますね。
「喧騒」が指す「音」は、話し声や生活で生じる音のほか、自動車や電車の走行音、サイレンやクラクションなども含まれるでしょう。より理解を深めるために、まずは「喧」「騒」それぞれの字義についてみていきます。
「喧」の字義
「喧」は、音読みで「ケン」、訓読みで「やかましい」「かまびすしい」で、わいわいと騒がしい様子を様子を表します。
古典などでは、「にぎやかな様子・盛んなさま」という使い方もみられますが、現代でこの意味合いは含まれません。とはいえ、「喧騒」における「ざわざわした感じ」は、にぎわっているとも捉えられるでしょうから、少し近い部分があるかもしれません。
代表的な熟語として、喧嘩(けんか:大声での言い争い)や喧伝(けんでん:大声で言いふらすこと)、喧喧囂囂(けんけんごうごう:多くの人が騒ぎ立てている)などが挙げられます。
「騒」の字義
「騒」は、音読みで「ソウ」、訓読みで「さわぐ」「ざわつく」と読みます。「喧騒」においては、「騒ぐこと、騒がしい様子」という意味で用いられています。
広く知られている熟語としては、騒音(そうおん:やかましい音)や騒動(そうどう:大勢の人が騒ぎ立てること)などが挙げられるでしょう。
「喧騒」の使い方
上述のように「喧騒」は、ざわざわとした様子を表すことができます。「都会の喧騒を離れて~」というフレーズを耳にしたこともあるでしょう。特定のひとつの音ではなく、共通した部分のないさまざまな音が入り混じっている、というニュアンスです。
「喧騒」は、ややネガティブに捉えることもできますが、繁華街などで遊ぶ時には「あえて」喧騒を楽しむ、といった場合もあるかもしれません。
例文
- 今度の連休は、都会の喧騒を離れて、自然に囲まれた温泉で過ごすつもりだ。
- 喧騒の中で、誰かが大声で私を呼んでいるのが聞こえた。
- 花火大会の喧騒を遠くに聞きながら、ゆっくりと河原を歩いて帰った。
「喧騒」の類語
「喧騒」の類語としては、「騒がしい様子」や、「不愉快に感じられるような音」などを表す言葉が当てはまるでしょう。以下にいくつかの熟語を挙げてみます。
- 騒動(そうどう)…多くの人々がざわめき統制のとれないこと。
- 狂騒(きょうそう)…常軌を逸した大騒ぎ。
- 騒乱(そうらん)…事件で世間の秩序が乱れること。
- 騒音(そうおん)…やかましい音。
- 雑音(ざつおん)…騒がしく不愉快な物音。
- 雑踏(ざっとう)…大勢の人で混みあうこと。
「雑踏」は、「人混み」そのものを表す言葉ですが、むろん、人で混みあえばさまざまな音が生じますね。
例文
- 告発した本人が不正をしていたことは、ちょっとした騒動へ発展したそうだ。
- 不要不急のものまで何でも買い占める様子は、まさに狂騒といえるものだった。
- 社会が不安定な時期は、ふとしたことで騒乱が起きないように注意する必要がある。
- 飛行機の騒音が気になって、どうしても勉強に集中できない。
- 雑音が多く、音声がしっかりと聞き取れない。
- 彼は、駅前の雑踏をものともせず、ひたすら落とした財布を探すことだけに集中した。
「喧騒」を英語で表すと?
「喧騒」は、英語で「hustle and bustle」や「noise」を用いて表すことができます。前者は慣用句的な使い方で、「押し合いへし合い」「慌ただしさ」などとも訳されます。また、後者は「騒音」「雑音」などの意味も持ちます。
例文
- They got away from the hustle and bustle from a city.(訳:彼らは、都会の喧騒から逃げ出した。)
- You may enjoy the street noises.(訳:街の喧騒が楽しめるかもしれませんよ。)