「親睦を深める」の意味
「親睦を深める」（しんぼくをふかめる）とは、「親しみあいの気持ちを深くする」「友好の度合いを深くする」という意味の言葉です。
「親睦」は、「親しい」「睦（むつ）まじい」と書く通り、それぞれ「なじみがあって、身近である」「仲が良く、交流がこまやか」という意味です。似た意味の字を二つ重ねた熟語といえます。
一方の「深める」は、「物事の度合いを深くする」という意味です。「深い仲」「深い付き合い」といった表現に見られるように、「人間関係」も「深さ」という尺度で言及される場合があるということですね。
「親睦を深める」の使い方・例文
「親睦を深める」という表現は、主に社会的・社交的関係の中で使用される傾向があります。誰か特定の相手と個人的に親しくなるというニュアンスもないわけではありませんが、多くは「社会的関係」の視点で使用されます。
社会とは大まかに「他者との関係」で成り立っていますから、物事を円滑に進めるために、学校生活、市民生活、会社など、社会のあらゆるシーンで「親睦（を深めること）」が重視され奨励されていると言ってよいでしょう。
しかしその一方、「親睦」がみんなで仲良くやりましょうという理想論、いわゆる「お題目」のように捉えられる傾向もあります。プライベートな「友情」や「親愛」とは異なり、人によっては「親睦」を「薄っぺらいもの」と感じる方もいるかもしれません。
例文
- この学校では、新入生らの親睦を深めることを目的として、毎年〇〇高原のホテルで二泊三日の合宿が行われる。
- 近頃は市民運動会を不要とする声もあるが、この会は身体を動かして健康増進を図るだけではなく、市民らの親睦を深めることも重要な目的なのだ。
- 私の孫は、毎週末、インターネット上で海外の趣味人たちと親睦を深めているという。実際に会いもしない相手と仲良くできるなんて、時代は変わったね。
- 遊興費の多さを指摘された政治家A氏は、「さまざまな業界の関係者と親睦を深めることも政治の重要な仕事である」と弁明した。
「親睦を深める」の類語表現
「友誼（を図る・を結ぶ）」
「友誼」（ゆうぎ）とは、「友達のよしみ、友情」という意味であり、それを「図る」や「結ぶ」などとすることで「親睦を深める」に似た意味を表すことができます。
「誼」（ギ）の字が「よしみ」（意味：親しい交わり）という意味であり、「友誼」の他にも「交誼」「厚誼」「好誼」「高誼」（読みはいずれも「こうぎ」）などの類語的な熟語が多数存在します。
「友達のよしみ」と言うとプライベートな関係を感じさせますが、実際には「親睦を深める」と同様、社会的な関係のニュアンスで使用される機会が多い表現です。
【例文】
- 言葉の通じない凶暴な宇宙人と、どうやって友誼を図れというのだろう。
- 〇〇卿は、地方の多くの名士たちと友誼を結んでいた。
「懇親を深める」
「懇親」（こんしん）とは「交際を厚くして親しみ合うこと、ねんごろになること」という意味の言葉です。「親睦」と同様「深める」などの動詞で表すほか、「懇親会」という言葉もよく使われています。
【例文】
- 太郎には、この温泉旅行の間に気になる彼女との懇親を深めたいという気持ちがあった。
- 〇〇会の懇親会に出席するので、今日は帰りが遅くなると夫から連絡があった。
「親睦を深める」を英語で言うと？
「親睦を深める」を英語で言いたい場合は、以下のような表現を用いましょう。
- deepen friendship(fellowship)
- get to know each other well
「friendship」や「fellowship」が「親睦」の訳語に該当します。これらの単語を使わずとも、二番目の例のように「互いをよく知る」という形の文章でもニュアンスは通じます。
例文
- Our company organizes a variety of events to deepen the friendship between our employees.（我が社では、社員の親睦を深めるためにさまざまな催しを実施しています）
- I don't want to be get to know each other well with those guys, he said.（あんな連中と親睦を深めたいとは思わない、と彼は言った）