「食いっぱぐれ」とは?
「食いっぱぐれ」という名詞は、「食いっぱぐれる」という動詞とほぼ同じ意味です。漢字にすると「食いっ逸(ぱぐ)れる」で、「食い逸(はぐ)れる」を強調した言い方になります。同様に、「食いっぱぐれのない」も「食いっぱぐれない」も、ほぼ同じ意味で使われます。
「食いっぱぐれる」とは、元々、食べ物を手に入れるチャンスをみすみす逃してしまうことで、そこから「食べ物を手に入れることができない」→「食べ物を手に入れるだけの安定した収入がない」「生計を立てる手段がない」という意味でも使われています。
「食」とは?
「食」には、次のような意味があり、「食いっぱぐれ」の「食」は、1~4の意味で使われています。
- たべる、くう:飲食
- たべもの:食料
- 食事
- 生計を立てる
- やしなう:食客(居候(いそうろう)のこと)
- かける:日食
「逸れる」とは?
「逸(はぐ)れる」には、次のような意味があります。
- 一緒にいた人や仲間を見失い、離れ離れになってしまうこと。
- 動詞の連用形の後ろについて、「~しそこなう」という意味を表す。
【1の意味の例文】
- お祭りの人混みで、友達と逸れてしまった。
- 群れから逸れた子ヤギが、悲しそうにメエメエ鳴いていた。
【2の意味の例文】
忘年会の後、酔っぱらっていたのでAさんからの会費を取り逸れた。
「食いっぱぐれる」では、2の意味で使われています。「逸れる」は「それる」とも読みますが、その場合は「話が逸(そ)れる」のように、「はぐれる」とは違う意味で使われます。
「食いっぱぐれ」使い方
- 今日は朝から仕事が忙しくて、昼休みも取れず、ランチを食いっぱぐれてしまった。
- この不景気でリストラにあってしまい、新しい仕事もなかなか見つからない。このままでは食いっぱぐれてしまいそうで焦っている。
- 父が浮き沈みの激しい世界で安定しない仕事を続けてきたので、母からは「食いっぱぐれのない仕事につきなさい」と言われ続けてきた。
「食いっぱぐれのない」とは?
安定した収入があって、生活が滞りなく営めている様子を、「食いっぱぐれのない」という言い方で表します。そのため、しっかりした会社に勤めているなど、安定して収入が見込める仕事についていることを、「食いっぱぐれのない仕事についている」というふうに表現したりします。
「食いっぱぐれ」英語での表現
「食いぱっぐれ」は、「miss one’s meal/missing a meal:食事を食べそこなう」や「lose one’s job:仕事を失う」という表現で表せます。
「食いっぱぐれ」のない職業とは?
終身雇用の見直しが言われている現在、就職してから、ずっと同じところに勤めることができるとは限りません。そのため、「食いっぱぐれ」のない職業への関心が高くなっていて、ネットでも「食いっぱぐれ」のない職業についてさまざまな記事を見つけることができます。
では、「食いっぱぐれ」のない職業とは、どんな職業でしょうか。一般的には、次のような条件が挙げられるようです。
- 経営が安定していて、リストラや倒産などの危険があまりなく、給与の変動の波もない(または、波が小さい)こと
- 社会的な需要が高く、働く場所も多いこと
- 生活に必要不可欠で、流行に左右されないこと
「食いっぱぐれ」のない職業や資格
具体的には、公務員、医師・看護師・薬剤師などの医療系の専門職、介護士、保育士や教師などが挙げられることが多いようです。最近ではエンジニアなどIT系の仕事はもちろん、AIでは代わることのできない職業として、農業や漁業にも注目が集まっています。
また、就職に役立つ=「食いっぱぐれ」のない資格として、簿記検定、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー、公認会計士などが挙げられることがあります。中には難易度の高い資格もありますが、転職に役立つとして、特に簿記検定などは女性に人気があります。