「カバチタレ」とは?
「カバチタレ」とは、広島弁で文句や屁理屈を言う人のことを指す言葉です。「カバチ(を)タレる」(屁理屈を言う)のかたちで、動詞として用いられることもあります。この言葉は、「カバチ」と「タレ」という2つの単語に分解することが可能です。
「カバチ」とは、本来は「上下の顎の骨」を意味する言葉ですが、西日本では「生意気を言ったり、口が回ったりすること、またそのような人」を指すことがあります。
一方、「タレ」は「(文句、不満を)たれること、たれる人」を指します。よって、「カバチタレ」は「カバチ」を「タレる」こと、またはその人=文句を言うこと、またはその人、という意味になるのです。
標準語にも、「文句を垂(た)れる」という表現がありますが、それと同じですね。関西でも、「文句たれ(不平の多い人)」という表現が使われることがあります。
「カバチタレ」の使い方の例
会話例①宿題を急かす
母親「はよー宿題しんさいや」
子供「だって、借りとるマンガを明日までに返さんといけんのよ」
母親「ほんまにあんた、カバチばっかりタレとらんと。マンガより宿題がさきじゃろーがいね」
母親「早く宿題をしなさい」
子供「だって、借りてるマンガを明日までに返さないといけないんだよ」
母親「本当にあなたは口ごたえばかりね!マンガより宿題が先でしょ!」
会話例②遅刻の言い訳
A「すまんのー。今日、電車が遅れただけじゃのーて、家に忘れ物までしてからに、来るんがこがいに遅うなってしもうたわ」
B「お前が遅刻するんはいっつものことじゃろーが。カバチタレとらんで、はよー行くで」
A「ごめんね。今日、電車が遅れただけじゃなくて、家に忘れ物までしてしまって、来るのがこんなに遅くなってしまったよ」
B「お前が遅刻するのはいつものことだろう。御託はいいから、早く行くぞ」
ドラマ「カバチタレ!」
「カバチタレ」という言葉を一躍有名にしたのは、2001年に放送されたドラマ『カバチタレ!』でしょう。行政書士事務所を舞台とするこのドラマは、同名の漫画を原作にして作られたものです。
漫画『カバチタレ!』は、原作:田島隆、作画;東風孝広で、講談社の雑誌『モーニング』で連載されていました。
このシリーズは、『カバチタレ!』(全20巻)、『特上カバチ!!-カバチタレ2-』(全34巻)、『カバチタレ!!-カバチタレ3-』(現在連載中)と続いています。2010年には漫画版の第二部である『特上カバチ!!』もドラマ化されました。
「カバチタレ」と言われたら?
もし、会話の中で相手に「カバチタレ」と言われるようなことがあったら、どう対応すればよいでしょうか?
ここまでの説明からわかるように、あなたに「カバチタレ」と言っている相手は、あなたが「口ごたえをした」「屁理屈を言っている」と腹を立てています。
このような状態で、すぐに反論をしたとしても、相手の怒りを煽るだけですよね。まずは、相手の気持ちが落ち着くのを待ってから、謝罪したり、釈明したりするのがよいでしょう。