「竹を割ったような」とは?
「竹を割ったような(たけをわったような)」とは、「人の気性がさっぱりしているさま」、「こだわりのないさま」を表す言い回しです。
悪いことができない性格や、陰でこそこそしないわだかまりのない性格、と言い換えることもできます。竹を割るとスパっと一直線に割れることから、それを人柄に例えてこのように言われます。
なぜ竹はまっすぐに割れる?
竹はイネの仲間の植物で、アジアの温帯や熱帯の地域でよく見られます。日本にも多く生えていて、ざるやかごなどの生活用品や文具に使われることもあります。
タケノコとして食用にされたり、葉が薬に使われたりすることもあり、身近な生活に欠かせない植物です。
竹の繊維は、ほとんどが縦方向にまっすぐに、しかもはっきりと走っています。そのため、縦に割るとまっすぐに割れやすいのです。よりまっすぐに、きれいに割るには、梢のほうから割るのがコツです。
対して、木は根元のほうから割るのがコツだとされています。これを、「木もと竹うら(木元竹末)」と言いますが、転じて物事にはやりやすいやり方があるという意味のことわざにもなっています。
「竹を割ったような」は、竹を縦に割ったときにまっすぐに割れる様子から来た言葉です。そのため、「竹を切ったような」とするのは誤りです。
「竹を割ったような」使い方
- 新しく異動してきた上司は竹を割ったような性格の人だ。指示されたことに裏がなく、言われたことをまっすぐにそのまま受け取ればよいので、部下としてはとても仕事がやりやすい。
- 私のお姑さんは、その世代のお姑さんには珍しいくらいさっぱりした人だ。まさに竹を割ったような気性の人なので、無用な嫁姑の争いは起こらないで済みそうだ。
- 先日、小学生の息子が学校でケンカをして、お友達を泣かせてしまった。家に謝りに行ったら、ケンカ相手のお母さんが竹を割ったような性格のお母さんで、お互い様だから、と言ってくれた。おかげでわだかまりなく解決することができた。
「竹を割ったような」英語での表現
「竹を割ったような」を英語で表すと、次のような表現になります。
- straightforward(まっすぐな、率直な)
- frank(率直な)
- openhearted(率直な、腹蔵のない)
- clear cut(はっきりした、明快な)
- refreshing frank(すがすがしいくらいに率直な)
「竹を割ったような」性格の人とは?
「竹を割ったような」性格、というのは基本的には誉め言葉です。裏表がなくて、さっぱりした正直な性格、というポジティブな意味で使われるからです。
その一方で、ストレートすぎるものの言い方などが、時には空気が読めない、とされてしまうこともあるようです。
このようなキャラクターが見ている人に爽快感を与えるため、テレビドラマや小説の主人公などに「竹を割ったような」性格の登場人物をしばしば見ることができます。
ドラマなどでは、空気をあえて読まないことも、キャラクターを強く印象づける原因の一つにもなります。
『HERO』久利生公平
俳優の木村拓哉さんは、テレビドラマなどで、「竹を割ったような」性格の主人公を多く演じています。
中でも、テレビドラマ『HERO』で木村拓哉さんが演じた型破りの検事、久利生公平(くりうこうへい)は、木村さんの人気とそのようなキャラクターの魅力で視聴者に広く受け入れられました。
『HERO』は、フジテレビ系で放送されたテレビドラマです。2001年、2014年の2期にわたってテレビドラマとして放送されただけでなく、劇場版の映画も作られています。
『花咲舞が黙ってない』花咲舞
人気作家、池井戸潤さんの小説にも、「竹を割ったような」性格のキャラクターがたくさん登場します。
その池井戸さんの小説を原作に、日本テレビ系でテレビドラマ化された『花咲舞が黙ってない』では、銀行内の不祥事を忖度なく解決していく正義感の強いヒロイン、花咲舞を杏さんが演じ、「お言葉を返すようですが」の決めセリフが人気を呼びました。