「代わり映え」とは?
「代わり映え」(かわりばえ)とは、「代わったためによくなること、代わって前者よりも勝ること」という意味の言葉です。送り仮名のゆれで「代り映え」とされることもあります。
「代わり」+「映え」
「代わり」は、「他のものがかわりをする」「入れかわる」「別のものが互いに入れ違いになる」という意意味です。
一方の「映え」は、「映(は)える」を名詞的に言ったものであり、「目立つようになる」「光を浴びて美しく引き立つ」といった意味です。「画面映え」などのほか、現代では「インスタ映え」といった言葉も使われています。
したがって「代わり映え」は、何かが代わったために(前よりも)よく目立つ、代わったことで美しく引き立つようになる、という意味であると解釈できますね。
「変わり映え」はNG
「かわる」という字には、「代」だけではなく「変」という字もありますね。両者の意味の違いは以下の通りです。
- 変わる…ものごとの性質・中身が前と相違する。例:「変化」「変身」
- 代わる…立場・身分・役割などが別のものになる。例:「代理」「交代」
「代わる」は「別のものになる」という大きな変化が特徴ですね。「変わる」はあくまでも「性質の違い、状態の移行」であり、「映えるかどうか」で語れるほど実体や本質が相違しない場合も多いのです(「信号が変わる」など)。
場合によっては「変わる」も非常に大きな変化を表すことがあるのですが、「代わり映え」は使う形がある程度決まっている慣用表現ということもあり、原則として「変」の字は使わないという点を覚えておきましょう。
「代わり映え」の使い方
「代わり映え」は、主に後ろにサ変動詞をつけて「~する」「~しない」という形で使います。「代わり映えがしない」「代わり映えのない」などのように格助詞を挟んでも構いません。
「代わり映えする」であれば「前とがらりと違って良くなった」というさまを指して使うのですが、実際の運用においては「代わり映えしない」という否定の形で使われることがほとんどであり、肯定的に使われるケースはかなり稀です。
変化というものは意外と実感が難しいことがあります。名目や上辺が別のものになっても、「結局、前とほとんど変わらない」「いつもと同じ状態が続いている」というさまを表現するのが「代わり映えしない」です。
例文
- いつもの朝。いつもの通学路。いつもの授業。代わり映えのしない日常に、彼は退屈していた。
- 代わり映えのない庭の景色の中にも、彼女はいつもいくつかの楽しみを見出ていた。
- 先ごろ、「内閣大改造」をうたった大規模な人事整理が行われたが、終わってみれば閣僚の面子は改造前とほとんど代わり映えしなかった。
「代わり映え」を英語で言うと?
「代わり映え」を英語で言いたい場合、肯定的な使い方であれば「shine」(輝く)、「better」(良い)といった単語を使いつつ、「than before」(前よりも)などの表現で「前よりも良い」というニュアンスを出す方法があります。
しかし、「代わり映え」は多くの場合「~しない」とネガティブな形で使うことを踏まえれば、英訳としては以下のような形の文章を覚えておくべきでしょう。
【例文】
- A is not very different from B(AはBとほとんど代わり映えしない)
- The change has brought no improvement.(その変化は代わり映えのしない改善をもたらした[=何も改善がなかった])
- She has been looking at the same view from the train window all the way.(彼女はその車窓から代わり映えのしない[=同じ]景色をずっと眺めていました)