「立役者」の意味
「立役者」(たてやくしゃ)の意味は以下の通りです。
- 劇団の芝居の中で中心の役につく俳優
- ある分野で中心になって活躍し、重要な役目を果たした人
「立役者」(たてやくしゃ)の由来は、歌舞伎の「立役」(たてやく)や「立者」(たてもの)です。これらは一座の中心となる役者、主要な役を演じる役者を指す言葉でした。今で言う、名題役者(なだいやくしゃ:劇場の前の看板に名前が載る上級の役者)のことですね。
ですから、「立役者」の本来の意味は1です。しかし現在では、派生した2の意味で用いられる機会の方が多くなっています。素晴らしい仕事ぶりで重要な役目を全うする人に、華々しい主演俳優のイメージを重ねたのかもしれませんね。
「立役者」の使い方
上でも説明したように、現在では多くの場合、「立役者」は2の「重要な役割を果たした人」という意味で用いられます。ここでは、2の意味で使われている例文を挙げていきましょう。
【例文】
- 2015年スワローズ優勝の立役者は、トリプルスリーを達成した山田哲人選手だ。
- Bさんは不祥事で降板したAさんの代役を務めて公演を成功に導いた立役者です。
- 新しい生物を発見をしたグループの立役者はCさんです。
「陰の立役者」
「立役者」を使った言い回しで、「陰の立役者」(かげのたてやくしゃ)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、見えないところで支えとなり、物事を成功に導いた人物という意味です。
【例文】
- スタッフの働きで素晴らしい千穐楽を迎えられた。まさに、陰の立役者といったところだ。
- 勝利の陰の立役者は、雑用を一手に引き受けてくれた補欠のDさんです。
なお、「影の立役者」と表記されることもありますが、「見えないところ」「目立たないところ」というニュアンスを表すには「陰」の方が適しているでしょう。
「立役者」の類語:「千両役者」
江戸時代、芸に優れた売れっ子の歌舞伎役者は年間で千両を超える収入を得ていたそうです。それに由来する言葉が「千両役者」(せんりょうやくしゃ)。俳優の中でも特に人気のある人物を表しています。
転じて、ある分野で優秀な成績や目立った活躍により、多くの人から支持される人物のことを千両役者と呼ぶようになりました。
人気がある俳優ならば物語のメインとなる役につくでしょうし、支持される人物ならば物事の中心となって活躍することも多いでしょう。そういった意味において、「千両役者」は「立役者」に近い言葉と考えられます。
【例文】
- 今期の映画祭で受賞した作品の主演は、千両役者と名高いCさんだ。
- チームを1位に導いた千両役者は、帰国して多くの取材を受けていた。