「終盤」とは?
囲碁・将棋用語で、終わりに近づいた段階を「終盤(しゅうばん)」と言います。「終盤」の「盤」は、碁盤や将棋盤のことです。囲碁や将棋の対局では、「序盤」「中盤」「終盤」を経て勝敗が決まります。「終盤」は、まもなく決着がつくであろう局面(形勢)を指します。
転じて、日常生活においては、長く続いてきた(続けてきた)事象や行いが最終段階に入ったことを「終盤」と表現しています。同様に、始まったばかりを「序盤」、中ほどまで達したことを「中盤」と言います。
なお、「終盤」は最終段階であり終着点ではないので、「終盤に達する」とは言いません。終盤を使う時には「終盤に差し掛かる」や「終盤に向かう」「終盤に入る」などと表現するようにしましょう。
「終盤」を使った例文
- お花見の名所で知られる目黒川周辺は、シーズン終盤にも関わらず多くの人でにぎわっている。
- 今年のペナントレースは首位の入れ替わりが激しいので、終盤に入っても全く目が離せない状態だ。
- 夏休みも終盤だというのに手を付けていない宿題があるなんて…。
- 選挙戦も終盤に差し掛かり、候補者の街頭演説にもますます力が入っている。
- 受験期もいよいよ終盤、体調に気を付けて乗り切ろう。
「終盤」の類語
「終盤」は、長く続いてきたことの延長線上にあるため、そこには「ついに」というニュアンスが含まれます。別の言葉で言い換えた時に、一番しっくりくるのは「大詰め(おおづめ)」でしょうか。「大詰め」も「終盤」と同じく、継続する物事の最終段階を意味する言葉です。
【例文】
- 国会では、来年度予算案の審議が大詰めを迎えた。
- オリンピック開催に向けての準備も、大詰めを迎えようとしている。
- 卒業式の練習もいよいよ大詰めだ。
目的語として「大詰め」を使用する時は、「大詰めを迎える」や「大詰めに入る」「大詰めになる」と表現すると良いでしょう。
「終盤」と「大詰め」の語源の違い
「大詰め」には「詰め」という言葉が使われているため、将棋を思い浮かべることがあるかもしれません。将棋用語では王将の逃げ場がなくなり負けることを「詰み」と言うからです。しかし、「大詰め」は、将棋由来の言葉ではありません。そこが「終盤」とは異なります。
「大詰め」とは、演劇用語で最終幕のことを言います。江戸時代の歌舞伎は、一番目狂言(時代物)と二番目狂言(世話物)の2部で演じるのを原則としていました。その一番目狂言の終わりを表す「大詰め」が、この言葉の語源です。
ちなみに、当時は、二番目狂言の終わりのことを「大切り」と呼び区別していました。しかし、後に一作品の最終幕を「大詰め」と呼ぶようになり、現在の使われ方をするようになりました。
「終盤」の英語表現
「終盤」は、日本語独特な言い回しなので、英語に訳す時は「最終段階」にあたる表現を使います。”final stage(phase)”や”end game”がそれにあたります。
”final stage(phase)”と”end game”に明確な使い分けはありませんが、囲碁、将棋における対局の終盤を表す時には”end game”を用いると良いでしょう。チェスの場合もこちらの表現を使います。
【例文】
- Rooks become much more important in the endgame.(終盤ではルーク〈将棋の飛車と同じ動きをする駒〉がより重要になります。)
- The trip reached its final phase.(旅も終盤に差し掛かった。)
- Work has entered the final stage.(作業も最終段階に入った。)