「目途」とは?
読み方について
「目途」は正しくは「めど」ではなく、「もくと」と読みます。しかし現代社会において「目途」は「めど」と読むことが慣習となっており、本来の「もくと」という読み方を知らない人も少なくありません。
「めど」は、本来「目途」ではなく「目処」と書きます。本来は「もくと」と「めど」に区別があったのですが、意味も近く紛らわしい事もあって両方とも「めど」で通じるようになってしまったわけです。(両者の詳しい違いについては後述します)
ただし、公文書などはしっかり「目途」に「もくと」と仮名が振ってある場合があるので確認してみて下さい。なお新聞などでは、混乱を避けるためか、「めど」を使う場合は平仮名表記にすると決められたようです。
意味
「目途」の意味は「目当て・見込み・目標」です。主に「目標」という意味で多用され、「~を目途に」や「~を目途とする」といった形で使います。
「目途」の使い方
- インフルエンザにかかってしまったが、連休明けを目途に学校に復帰できそうだ。
- 半年後を目途に志望校の合格判定をCからAにしてみせる。
- デパートを何件も回ってついに目途の商品を手に入れることが出来た。
- 2週間以内に今手掛けている仕事を終わらせることを目途にした。
いずれも正しい読みは「もくと」ですが、一般的な場では「めど」と読んでも誤りとはされません。
「目途」と「目処」の違い
成り立ち・由来の違い
「目途」(もくと)は和製漢語と言われる言葉で、日本人が作った漢語です。一方、本来「めど」と読む「目処」のほうは和語です。成り立ちから異なり、もともと両者は別の言葉であることがわかりますね。
意味・使い方の違い
では意味はどうでしょう。「目処」の意味は「目指すところ・目当て・だいたいの見当」です。冒頭で解説した通り、意味が「目途」ととても似ているため、どちらも「めど」になってしまったと考えられています。
ただし、「目途」には「目標」以外に「見通し」という意味が含まれています。そのため、使い方にも少し違いがあります。
例えば、「目処」は見通しという意を持つので「目処が立つ」「目処がつく」といった言い回しが可能です。しかし「目途」には見通しという意が無いため「目途が立つ」や「目途がつく」は間違った表現です。
使用シーンの違い
「目途」と「目処」は、それぞれ使われるシチュエーションにも違いがあります。一般的に日常会話やビジネスシーンなどで使われる「めど」は「目処」の方です。対して「目途」は主に公文書の類に活用されます。
「めど」の由来
易占いで使用される道具のひとつに、細い竹製の棒(筮竹)があります。この道具は、昔は植物の「メドハギ」を素材として使っていました。
占いは将来の指針になることから、占いの際に使われる「メド」が「目標」という意味を含む言葉になったとされています(他にも、針の糸を通す穴「針孔(めど)」を狙う様子からという説もあります)。
しかしメドハギの語源が「目処」にあるという説もあるので、この説が正しいかどうかは定かではありません。いずれにせよ「目途」は「目処」を元にして考えられたとされていますので、比較的新しい言葉といえます。
「目途」を英語で
「目途」を英語にする場合は複数の表現方法があります。以下はその一部です。
- prospect(見込み)
- see the light at the end of the tunnel(見通しがつく)
- The end is near(終わる目処がついた)
例文
【例文1】
- It was absent from school because of the flu,but I have some good prospect when I will return to school.
- 訳:インフルエンザにかかって学校を休んでいたが、学校に復帰する見通しがついた。
【例文2】
- We have decided to start a new business with the aim of next spring.
- 訳:来年の春ごろを目途に、新しい事業を立ち上げることになった。
【例文3】
- I worked hard with the prospect of finishing my work later today.
- 訳:私は今日中に手掛けている仕事を終わらせることを目途にした。