「満腔」の意味
「満腔」の読み方は「まんこう」です。まんくうと読む人が多いですが、これは誤った読み方です。本来「腔」は「こう」としか読みません。「口腔(こうくう)」など「腔」を「くう」と読むのは、限られた場合のみです。
「腔」は訓読みで「うつろ・からだ」と読むことができ「満腔」は「からだ全て・全身」という意味になります。日常生活ではまず使うことのない言葉です。「満腔」を使用するのは、かなり畏まった場に限られるでしょう。
「満腔」の使い方
「満腔」の使い方を例文を用いて見ていきましょう。
- 彼は社会人にも関わらず、言われた事を何もせず謝罪の意も示さなかった。私は満腔の怒りを込めて彼に書類を叩きつけた。
- 今日の試合は彼の好判断のおかげで勝つことが出来た。私たちは彼に対して満腔の敬意を表した。
- 彼の著書の最後のページに「この本の発行に関わったすべての人に満腔の謝意を」という文言が書かれていた。
- 子供が第一志望の大学に合格したと電話してきた、満腔春意の気分だ。
最後の例文にある「満腔春意」とは、「春のように全身がなごやかな気分で満ち溢れること」で、誰かや何かを祝う時に使用されます。
「満腔」の類義語
「満身」
「満身」は「まんしん」と読み、「全身」という意味を持ちます。満身を使った言葉としては「満身創痍」が代表的な例です。全身傷だらけの様子から転じて、手ひどく痛めつけられた様子を表す四字熟語です。
- チームが全国優勝を成し遂げた瞬間、私は満身を使って喜びを表現した。
- 昨日の登山が原因で満身が痛い。
- 彼は満身創痍になりながらも、チームのために戦い続けた。
「全身全霊」
「全身全霊」は「ぜんしんぜんれい」と読み、「身も心もすべて」という意味です。身体だけでなく心も含まれている点で、「満腔」とは少し異なりますが、類義語として差し支えないでしょう。
- 彼は私にとって命の恩人と言える人物だ。頼み事をされたら全身全霊で応える覚悟は出来ている。
- 全身全霊をもってこの試合を戦い抜くことを誓います。
- 私は今、大学で研究に全身全霊を捧げている。
「五体」
「五体」は「ごたい」と読みます。以下のような意味を持つ言葉です。
- 身体を形成する5つの部分、筋・脈・肉・骨・毛皮のこと。または頭・両手・両足のこと
- 全身のこと
「五体」というと乙武洋匡さんの著書「五体不満足」を想像する方もいるかもしれませんが、「満腔」同様に「全身」という意味があります。
- かつてないこの喜びを五体を使って存分に表現した。
- 「五体不満足」を読んで、五体が健康であることだけでも感謝しなければならないという気持ちが芽生えた。
「満腔の怒り」2ch
インターネット上の掲示場、2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)で「満腔の怒り」という言葉にスポットが当てられた事がありました。社民党が当時の防衛大臣に対して提出した、在日米軍の沖縄からの撤退を要望する文書についてです。
その題名が「満腔の怒りをもって日米両政府に抗議」だったのです。今まで満腔の文字を見たことの無い人も辞書やネットを使い意味を調べたことでしょう。
この文書に対するネット民の反応は思わしくなく、社民党を逆に批判するコメントが多数を占める結果となりました。
とはいえ、現在はニコニコ動画などで政治討論が中継されるなどネットが活用される世の中になっていますので話題作りという観点からすると成功と言えるかもしれませんね。