「グラビア」とは
グラビアページやグラビアモデルといった言葉から、「グラビア」は、セクシーな・露出度の高いといった意味だと思っている人もいるかもしれません。
しかし、「グラビア(gravure)」とは印刷技法のひとつ、凹版印刷のことなのです。また、グラビア印刷で刷られた写真や雑誌などを指して「グラビア」ということもあります。意外でしたか?凹版印刷については後述しますね。
「グラビア」の使い方
もともとは凹版印刷を指す「グラビア」ですが、現在においては、多くの場合、かつてグラビア印刷で刷られていたような写真や雑誌、雑誌のページという意味で用いられます。
【使用例】
- グラビアでデビューした彼女は、今や、歌手や女優など活躍の幅を広げている。
- 彼女はいろいろな雑誌のグラビアに起用されている。
- 実家の押入れから、昔のグラビアの切抜きがたくさん出てきた。
- 僕の目は、そのグラビアページに釘付けになった。
- 今日のグラビア撮影は新人モデルが多かったため、時間がかかった。
- 彼女はグラビアアイドルの世界の厳しさをまだ知らずにいる。
- いつもは買わない雑誌だが、巻頭グラビアが好きなアイドルだったので購入した。
「グラビア雑誌」
もともとは、グラビア印刷で刷られた雑誌が「グラビア雑誌」でした。やがて、絵画や写真が多く掲載されている雑誌を「グラビア雑誌」と呼ぶようになり、今でもその呼び方が残っているのです。
「グラビア雑誌」は、写真をおもなコンテンツとしているアイドル雑誌や成年向け雑誌・ヌード雑誌(アダルト雑誌)を指すこともあります。しかし、もともとの意味を考えれば、そのような雑誌だけを意味する言葉ではありません。
なお、ヌード雑誌という意味においての「グラビア雑誌」は、英語では「dirty magazine」「skin magazine」などと表現されます。
「グラビアアイドル」
グラビア雑誌の被写体として活動する「グラビアアイドル」「グラビアモデル」は、男性向け雑誌において、売り上げを左右するほどの重要な要素とされています。
「グラビアアイドル(グラドル)」「グラビアモデル」は、グラビア雑誌やグラビアページに掲載される写真の被写体を指す和製英語です。
これらは、英語では、「pin-up girl」(ピンナップのモデルとなる女性・多くの場合は女性のヌードモデル)、「bikini model」(ビキニモデル・水着モデル)などと表現します。
グラビア印刷(凹版印刷)
グラビア印刷とは
上述した通り、グラビア印刷は凹版印刷のこと。凹版印刷は、溝を彫った版の全体にインクをつけてから拭き取り、窪み(凹部分)に残ったインクを紙に移すやり方です。
窪みの深さによってインクの量が変わるので、画像に濃淡をつけることができるという特徴があります。
グラビア印刷の用途
グラビア印刷は、濃淡をつけられるという特徴から、写真や図録の印刷によく使われる技法です。カタログや雑誌はもとより、商品のパッケージ、さらには布地や壁紙、切手などにも使用されています。意外と身近にグラビア印刷されたものが見つかることがわかりますね。
そのほかの印刷のしくみ
凸版印刷
凸版印刷は、凹版印刷とはインクが残る部分が逆の印刷方法。印鑑や活版印刷のように、高くなった部分(凸部分)にインクを付け、それを紙に移す方法です。
印刷により書籍などを民衆が手にする機会が増え、知識や教養が広まったという歴史的、文化的な意義は大変大きなものでした。特に、15世紀にヨハネス・グーテンベルグが発明した活版印刷機は、羅針盤・火薬とともにルネッサンス期の三大発明に数えられています。
平版印刷
平版印刷は、ほとんど凹凸がない版を使った印刷方法です。版に、油が馴染む部分(親油性)と油が馴染みにくい部分(親水性)を作り、版全体を水で湿らせます。その上からインクを載せれば、油が馴染む部分にのみインクが残るので、それを紙に写し取るのです。
平版印刷に当たるのは、リトグラフやオフセット印刷です。物理的な高低差によってインクが付く部分とつかない部分を分けている凹版印刷や凸版印刷と違い、平版印刷は化学的にそれらを分けています。
孔版印刷
孔版印刷とは、インクが透過する細かいメッシュ状を使った印刷方法です。インクをつけたくない箇所を蝋(ろう)などインクが透過しない素材で覆った版と紙を重ね、版の上から紙にインクを浸透させます。
孔版印刷に分類されるのは、Tシャツなどの印刷に使われるシルクスクリーン。また、ある年代以上の型にはお馴染みの謄写印刷(ガリ版印刷)、理想科学工業が発売していた「プリントゴッコ」という家庭用小型印刷機(2008年に販売終了)などです。