「逞しい」とは
「逞しい」は、次の3つの意味を持つ形容詞です。
- 体が頑丈で強そうな様子
- 強い意志があり、挫けない
- 活力が満ち溢れている
「逞」の字義
「逞」は音読みでは<テイ>、訓読みでは<こころよ-い・たくま-しい・たくま-しくする>と読みます。「たくましい・勇ましい」のほかにも、「快い・思い通りにする」「通る・届く」「解き放つ・緩める」などの意味があります。
「逞しい」の使い方
- この樹の幹は、周りの樹と比べてもひときわ逞しい。
- ジム通いを始めた彼は、日増しに逞しい体つきになっていった。
- いわれのない誹謗中傷を受けることもあったが、逞しい自制心で耐え抜いた。
- 怪我による長期休養を強いられたが、逞しく乗り越えた。
- 年末セールには逞しいご婦人方が大勢押し寄せる。
- 拾った子猫はひどく骨ばっていたが逞しい生命力で元気を取り戻した。
「逞しい」の類語
上でご紹介した「逞しい」の3つの意味に分けて、類語を挙げてみましょう。なお、複数の意味を持つ言葉については、「逞しい」に近い意味のみ掲載します。
1.体が頑丈
体が頑丈であるという意味の「逞しい」に近い意味を持つ言葉には、次のような言葉があります。
- 筋骨隆々<きんこつりゅうりゅう>:体つきががっしりしている。
- 骨太<ほねぶと>:骨格ががっしりしている。
- 屈強<くっきょう>:非常に力強く頑丈である。
- 達者<たっしゃ>:心身が丈夫でしっかりしている。健全である。
- 強靭<きょうじん>:しなやかで強い。
- 精悍<せいかん>:体つき、顔立ちが鋭く引き締まっていて、力強い。
上の3つは、喧嘩をしたら強そう、重い荷物を持ち上げられそうといった、体つきを表すときによく用いられる言葉です。下の3つは、健康そう、鋭そうのようなその人の印象を指すときに使われます。下の2つは、「3.活力がある」という意味の類語にもなり得ます。
2.意志が強い
意志が強いという意味の「逞しい」の類語の一例は次の通りです。
- タフ(tough):頑強で少しくらいのことではへこたれない様子。
- 気骨<きこつ>:どんな障害にもめげず、信念を貫く強い意志。
- 勝気/勝ち気<かちき>:他人に負けまいとして頑張る性格。
- 不撓不屈<ふとうふくつ>:どんな困難にあおうとも、心が挫けないこと。
- 堅忍不抜<けんにんふばつ>:困難や誘惑にも心が揺らがず、耐え抜くこと。
「タフ」は体力的に頑強であることをも指しますので「1.体が頑丈」の類語とも言えます。ほかの4つは精神的な強さのみを表す言葉です。「逞しい」には信念を貫くというニュアンスはありませんが、意志が強いという点においては「気骨」に通づるところがあるでしょう。
3.活力がある
次の言葉は、活力があるという意味の「逞しい」に類する言葉と言えます。
- エネルギッシュ(独・energisch):活力に溢れている様子。
- 威勢<いせい>:元気があって勢いが良いこと。
- 鋭気<えいき>:激しく強い意気込みや勢い。
- 情熱的<じょうねつてき>:感情を熱く昂らせている様子。
- 滾る<たぎる>:激しい感情がわき起こること。
上の3つは、元気がある、勢いがあるというニュアンスがあります。一方、下の2つは、感情面において勢いがあることを表しますので、「逞しい」とはやや印象が異なる言葉です。
「逞しい」の英語表現
「逞しい」を英語で表現する場合は、肉体的な強さも精神的な強さも表すことができる'strong'を使うといいでしょう。また、'strong-willed'とすれば、精神的に強い・意志が強い・気が強いといった意味になります。
- He is strong.
- He is strong-willed.
そのほか、「逞しい」は次のように表現することができます。
- He is well-build.(彼は体を鍛えている。→彼の体は逞しい。)
- He is hardy.(彼は困難に耐え得る人だ。→彼は精神的に逞しい。)
- He is very vibrant.(彼はとても元気だ。→彼は生き生きとして逞しい。)