「不撓不屈」の読み方
「ふとうふくつ」と、読みます。この四文字の中で一番難しいのは、やはり「撓」の文字ではないでしょうか。「撓」は、ここで使われている音読の【とう】の読み以外に【たわ(む)】や【くじ(ける)】等、複数の読み方を持っています。
ちなみに、「撓」は漢字検定1級レベルの難易度の高い漢字ですので、読むだけでなく、書くのも難しそうですね。
「不撓不屈」の意味
「不撓不屈」とは、どんな困難や苦労も強い意志でくじけないという意味です。「不撓不屈」を訓読すると、「撓(たゆ)まず屈せず」と読みます。
「不撓」は、たわまないという意味を持ち、そこからくじけない様子を表しています。また、「不屈」も曲がらないという意味から転じて、くじけない様子を表します。
よって、「くじけない」という意味を持つ二語が重り意味が強調され、どんな困難にもくじけないことや、そういった強い精神を形容する言葉として使われるようになりました。
「不撓不屈」の由来
「不撓不屈」の意味がわかったところで、その由来について見ていきましょう。
「不撓不屈」は、中国の歴史書である『漢書(かんじょ)』という文献に登場したのが、その始まりと言われています。
「楽昌(がくしょう)篤実(とくじつ)、不撓不屈」と記されているのですが、意味としては「楽昌侯はとても誠実で、信念を曲げない人だ。」となります。
この楽昌侯という人物は、威厳があり体格も良く、とても優れた容姿をしていたそうです。そして、それに加えて見た目だけではなく、性格も威風堂々とした人物像を容易に想像することができるエピソードがいくつか残されています。
「不撓不屈」の例文
「不撓不屈」はどの様に使われるのでしょうか。例文を見てみましょう。
1.「不撓不屈」の精神で、オリンピックの予選に挑む。
2.満身創痍の身体であっても最後まで諦めない彼女の姿は、まさに「不撓不屈」と呼ぶにふさわしい。
3.どんな困難にも負けない「不撓不屈」の強い意志で、一代で会社を立ち上げて海外進出まで果たした。
スポーツの場面で使われることが多いようですが、それ以外にも強い意志や、何があってもあきらめない信条などを表現する時に使われるようです。
「不撓不屈」が座右の銘の有名人
「不撓不屈」を座右の銘や目標に掲げている有名人を見てみましょう。
貴乃花親方
「不撓不屈」と聞いて一番に思い浮かべるのは、やはり貴乃花親方だという方は多いのではないでしょうか?貴乃花親方は大関昇進時に、「『不撓不屈』の精神で相撲道に精進いたします。」と口上を述べています。
横綱や大関の昇進伝達式で、四字熟語を使った決意表明をしている力士の姿は恒例となっていますが、なんと貴乃花親方が先駆けだったそうです。
貴乃花親方は、翌年の横綱昇進時にも、身や命をささげて惜しまないことを意味する「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」という言葉を用いて、「相撲道に不惜身命を貫く所存です」と言ってメディアを賑わせました。
フィギュアスケート 本田真凛選手
2017年に、当時シニアデビューを果たしたばかりの本田真凛選手が、今期の目標をを聞かれて「不撓不屈」を掲げました。はじめ「気合い」と書いたそうですが、シニアらしく「不撓不屈」と書き直したそうです。なんとも可愛らしいエピソードですね。そして、「不撓不屈」が咄嗟に出てきたところに大物の予感がします。
いかがでしたでしょうか。「不撓不屈」の意味や使い方をご理解いただけたでしょうか。今後とも、「不撓不屈」の精神で精進いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。