「心構え」とは
「構え(かまえ)」には、複数の意味がありますが、その中の一つが状況の変化などに対処できるように姿勢や態度を整えるという意味です。「正眼の構え」「一歩も引かぬ構え」のように用いられます。
「心構え(こころがまえ)」とは、状況の変化に対処できるように心を整えておくこと。つまり、「物事に対処するための心の準備」や「覚悟」を指す言葉です。
「心構え」の使い方
「心構え」は、大事に対する心持ちようを指すこともあれば、ちょっとした予想や予測を指すこともあります。「心構えができる・できない」「心構えがある・ない」などはよく使われる言い回しです。
「心構え」の使用例
- 父は私に社会人としての心構えを言って聞かせた。
- 母は病弱だったので、私は別れの心構えができていたのだろう。
- 日頃の心構えがあれば、ちょっとやそっとのことで動じることもない。
- チャイムが鳴ったので、なんの心構えもなしにドアを開けた。
「心構え」と「心掛け」
「心構え」に似た言葉に「心掛け」があります。この二つの言葉には違いはあるでしょうか?
「心掛け」とは
「心掛け(こころがけ)」には、①ふだんの心の持ち方、②心得・嗜みという意味がありますが、「心構え」に類するのは①の意味です。「整理整頓を心掛けなさい」のように用いられます。
学校などで、日常における目標、日頃気をつけるポイントといった意味合いで「心掛け」という言葉を使っていた人もいるかもしれませんね。
「心構え」と「心掛け」の違い
上で挙げた例文の中には、「心掛け」で言い換えても意味が通じる文章があります。それは、「心の持ち方」というニュアンスで用いる場合です。
- 父は私に社会人としての心構え[心掛け]を言って聞かせた。
- 日頃の心構え[心掛け]があれば、ちょっとやそっとのことで動じることもない。
しかし、「心構え」はいざというときのための、「心掛け」は日常の心の在りようを表す場合が多いので、上の例文のうち、これらを「心掛け」に置き換えることはできません。
- 母は病弱だったので、私は別れの心構えができていたのだろう。
- チャイムが鳴ったので、なんの心構えもなしにドアを開けた。
「心構え」の類語・関連語
上でご紹介した「心掛け」以外の類語、関連語には次のような言葉が挙げられます。
「気構え」
「気構え(きがまえ)」は、予測できることに対する心の準備・物事に取り組む時の意気込みを指す言葉です。辞書的には「心構え」とほぼ同じ意味ですが、慣用的に、「気構え」の方が確固たる意志や強い決意を含む表現として用いられています。
【使用例】
- 店の暖簾(のれん)はなんとしても守り抜く気構えだった。
- 彼のような気構えのある社員は少ない。
「用心に怪我なし」
「用心に怪我なし」とは、十分に用心してさえいれば失敗することもないという意味の慣用句で、「転ばぬ先の杖」と同じ意味です。「心構えをしておきなさい」という教訓なので「心構え」の類語とは言えませんが、関連する言葉と言えるでしょう。
「備えあれば憂いなし」
「備えあれば憂いなし」は、普段から準備を整えておけば、いざという時に心配することもないという意味のことわざです。「憂い」は「患い」と表記されることもあります。
どちらかというと物理的な備えについて言われる言葉ですが、備品を揃えるという心持ちという点では「心構え」に通ずるところがあります。
「心構え」の英語表現
「心構え」に相当する英単語には'attitude'(態度・心構え)や'mindset'(物の見方・心構え)、'readiness'(用意・心構え)が挙げられます。しかし、これらを使って文章を作るよりも「〜の準備ができている」といった表現の方がわかりやすいかもしれません。
【使用例】
- He is ready to meet her parents.(彼は彼女の両親に会う準備ができている→心構えができている)
- We have to prepared for a major earthquake.(我々は大地震に対して備えなければいけない→心構えをする必要がある)