「睦言」の意味
「睦言(むつごと)」とは、親密な者同士の会話、とくに、恋人同士や夫婦といった「仲の良い男女が寝室でする語らい」を指す言葉です。
「睦」と「言」の字義
「睦」という字は、音読みで「ボク」、訓読みで「むつ-む・むつ-ぶ・むつ-まじい」と読みます。意味としては、「人々が仲良く寄り合う・親しい」などがあります。
また、「言」という字には様々な意味がありますが、「睦言」の「言」は、「口に出して言うこと・ものを言うこと」といった意味です。
「睦言」はこの二つの字を組み合わせた熟語で、「仲の良い・親しい」者たちの「言葉・発言」を指します。そこから「親密な男女の会話」という意味につながっていったのでしょう。
「睦言」の使い方
「睦言」はあくまで「親しい」者同士の「打ち解けた会話」なので、仲良しとは言えないような間柄や、会話の内容が淡白な場合は使いません。
また、日常生活ではあまり使われない表現なので、普段の会話やメール・LINEなどのやりとりでは「会話」や「ピロートーク」のような表現を用いるほうが良いでしょう。
一方で、改まった手紙や文書、小説などで用いると、文語的で知的な印象を読み手に与えるかもしれませんね。
「睦言」の例文
- 深夜に公園を通りかかると、どこからか睦言のような声が聞こえてきた。
- アパートの隣の部屋からは、幸せそうな男女の睦言が聞こえてくる。
また、「睦言を交わす」「睦言を取り交わす」といった言い回しもよく使われます。
- 彼と睦言を交わしていたあの頃が、今思えば一番充実していた時期だった。
- 彼女と睦言を取り交わすたびに、この人がパートナーで本当に良かったとしみじみ感じる。
「睦言」の類語
ピロートーク
「ピロートーク(pillow talk)」は、「睦言」の英訳にあたる言葉です。恋人や夫婦などといった「仲の良い男女が枕(pillow)をともにしながら交わす会話」のことを言います。
【使用例】
- 二人はピロートークを交わしながら、幸せな時間を過ごした。
情話
「情話(じょうわ)」には、情のこもった話や男女の恋愛話といった人情話(にんじょうばなし)の意味もありますが、男女の睦言という意味もあります。
後者の場合、会話すること自体よりも、睦言を交わすシーンというニュアンスが用いられることが多いようです。
【使用例】
- この小説は当時の市井(しせい)の情話をベースに書かれている。
- 彼は酒が進んだせいか、自身の情話を口にし始めた。
殺し文句
「殺し文句」とは、相手の気持ちを強く引きつける巧みな言葉のことです。とくに男女間でのやり取りでの「取っておきの口説き文句」というニュアンスで用いられます。
【使用例】
- 彼の殺し文句にころっと引っかかった私は、その後も彼との交際を続けた。
談話
男女の寝室での会話という意味では用いられませんが、「談話(だんわ)」にはリラックスしながら打ち解けて語り合うという意味があります。
また、ある事柄についての非公式な意見を指すこともあり、「首相談話」のように政治の分野でも用いられる言葉です。
【使用例】
- 取引先との談話が盛り上がったことで、さらに新たな販売ルートを開拓することができた。
- 先日発表された大臣の談話には、注目すべき事柄が数多く盛り込まれていた。