「膂力」の意味
「膂力」とは「筋肉の力」や「腕力」を指す言葉で「りょりょく」と読みます。力の強い様子や、腕っぷしの強い人に対して使う言葉です。日常会話で聞くことはほぼありませんが、小説などでは見かけることのある表現です。
なお「腕力」から転じて、「人力」「人力作業」を指すこともあります。たとえば「膂力搬送」という言葉がありますが、これは「人間が担いだり抱えたりして荷物を運ぶこと」を意味しています。
現在では自動車や機械などを利用した搬送が主流ですが、そのようなものが存在しなかった時代は、やはり「人力」や「腕力」が重要視されていました。
「膂力」の使い方
「膂力」は普段あまり見慣れない表現なので、日常会話などにおける普段のやり取りでは「筋力」や「腕力」といった言葉を用いたほうが相手に伝わりやすいでしょう。
一方で、改まった文書や小説などを書く際に用いると、表現のマンネリを防ぐことができますし、読み手に対して知的な印象を与える効果も期待できます。状況や相手によって使い分けると良いでしょう。
「膂力」の例文
- 若い頃は膂力に自信があったが、今ではだいぶ衰えてしまった。
- ラグビー部の主将をしているという彼は筋骨隆々で、膂力も相当なものだろう。
- かつて彼の国では、武力と膂力が尊崇されていた時代があった。
- 彼は60代とは思えない程の凄まじい膂力と威圧感の持ち主だ。
「膂」の字義
「膂力」の「膂」には、以下の意味があります。
- 背骨
- 力。筋力
つまり「膂力」は「背骨から生ずる力」を示していたといえます。今で言うところの「背筋力」といったところでしょうか。それが次第に「筋力」とくに「腕力」を指すようになっていったのは興味深いところですね。
「膂力」の類語・関連語
屈強
「屈強(くっきょう)」とは、「体つきなどがとても頑丈なさま」「きわめて力が強く頑丈なさま」を表す言葉です。
「屈」という字には「屈辱」「屈服」などで使われているように「くじける」「負ける」という意味がありますが、一方で「屈強」のように「つよい」という意味もあります。
【使用例】
- 戦闘の序盤は我々が劣勢だったが、屈強な兵士たちが救援に駆けつけてからは戦局が一変した。
剛力
「剛力(ごうりき)」とは、以下の意味を持つ言葉です。
- 力が強いこと。力の強い人。
- 登山者の荷物を背負い山の案内に立つ人。
- 山伏(やまぶし)・修験者(しゅげんしゃ)などの荷物を運ぶ従者。
「剛」という字には「強くて堅い」「意志が強い」といった意味があり、肉体的、精神的な強さを表しています。
【使用例】
- 彼は村一番の剛力で、長老の用心棒としても活躍していた。
鉄腕
「鉄腕(てつわん)」とは、「鉄のようにたくましく力強い腕」のことを指します。「鉄腕アトム」や「鉄腕ダッシュ」といったテレビ番組のタイトルでもおなじみですね。
このほかにも、野球の世界では強靭な投手のことを「鉄腕投手」と言うことがあります。
【使用例】
- 彼の持つパワーはすさまじく、まさに鉄腕といった感じだ。
胆力
「胆力(たんりょく)」とは、「恐れたり、尻込みをしないほどの精神力」「ものに動じない気力」などを意味する言葉で、おもに精神的な強さや度胸のある様子を指しています。
「膂力」が「腕っぷし」を表すなら、「胆力」は「肝っ玉」を表しているといったところでしょう。
【使用例】
- 社長がこの業界で成功を収めた背景には、誰にも負けない行動力と、持ち前の胆力の強さがあった。