「ご尊顔」の意味
「ご尊顔(ごそんがん)」とは、「偉い人や高貴な方の顔」「他人の顔を敬って言う言葉」のことを言います。身分の高い人の顔を表す「尊顔」に、丁寧の意を表す「御(ご)」を先頭に付けた表現です。
主に王様や皇帝などのような身分の高い人の顔に対して使う言葉であり、日本においては「天皇」をはじめとした皇族の方々を対象に使われています。
また、自分がとても尊敬している人の顔に対しても使うことがあります。この場合は、自分が「高貴な方と同じくらい尊敬している」人物を対象としており、その人が客観的に高貴な身分である必要はありません。
「ご尊顔」の使い方
「ご尊顔」は格式の高い人や偉い人に対して使う言葉なので、一般の人に対しては基本的に使いません。使用する場面が限られていることもあり、この言葉に馴染みの無い方も多いでしょう。
このため、日常会話や雑談などといった普段のやり取りでは、「顔」や「お顔」といった通常の表現を用いるほうが、コミュニケーションが円滑に進みます。
一方で、公式な場や改まった文書などで使うと、格式高い印象を周囲に与えることができます。ケースによって使い分けるのが良いでしょう。
アイドルやキャラクターに使うこともある
また最近では、自分が尊敬しているアイドルや、漫画・アニメのキャラクターに対しても「ご尊顔」を使うことがあります。
たとえば「ライブで〇〇君のご尊顔を直接拝めてマジ感動した」のようにです。twitterなどのSNSではこのようなつぶやき(書き込み)が見られます。
「ご尊顔」の例文・使用例
- 皇帝のご尊顔を拝むことができるのは、ごく限られた人のみだ。
- 天皇皇后両陛下のご尊顔をあしらったセーターがネット上で話題になっている。
- 皇帝陛下のご尊顔は、まさに君主にふさわしい、大変に凛々しく頼もしいものであった。
「ご尊顔を拝する」の意味と使い方
「ご尊顔」という言葉を用いるときは「拝する」とセットで組み合わせて「ご尊顔を拝する」とする慣用表現もよく見られます。
これは「偉い人や尊い人の顔を見る」という意味でよく使われる表現であり、「拝する」は「見る」の謙譲語で、君主の顔に対する敬意を表しています。
【使用例】
- 皇帝陛下のご尊顔を拝するのは、実に5年ぶりだ。
「ご尊顔」の類語
龍顔・竜顔
「龍顔(りゅうがん・りょうがん)」とは、「天子の顔」を指す言葉です。「竜顔」と表記することもあります。
「天子」とは中国や日本で用いられた君主の称号のことであり、つまり「竜顔」とは、中国の場合は「皇帝のお顔」、日本だと「天皇のお顔」ということになります。
「龍顔」は、日本における最上級の尊敬表現である「最高敬語」のひとつで、戦前の新聞やラジオなどのメディアで天皇の話題を扱う際に使われていました。現在では一部の例外を除いて、天皇に対しても一般的な敬語を用いるようになっています。
【使用例】
- 陛下の龍顔を詳細にスケッチしたものが、後の肖像画の雛形となった。
天顔
「天顔(てんがん)」も竜顔と同じく「天子の顔」を指す言葉です。なお「天顔」を用いた四字熟語に「天顔咫尺(てんがんしせき)」があります。こちらは「天子(君主)の側近として仕えること」を意味します。
なお「咫」は長さの八寸、「尺」は十寸のことで、「咫尺」で「非常に近い」ことをたとえています。
【使用例】
- 天顔を拝することができ、恐悦至極でございます。
尊容
「尊容(そんよう)」とは、「仏像や身分の高い人の尊い顔や姿」や「他人の顔や姿を敬うときの語」を指す言葉です。尊敬の意を表す「御(ご)」を先頭に付けて「ご尊容」と言うこともあります。
【使用例】
- 不動明王のご尊容は、ものすごい迫力で圧倒される。