「他意」とは?意味や使い方をご紹介

「他意」という言葉をご存知でしょうか。それ単独というよりは、「他意はない」という定型的な表現で見聞きすることのほうが多いかもしれません。今回はこの「他意」について、意味や使い方、類語、そして英語での表現も含めつつご紹介します。

目次

  1. 「他意」とは?
  2. 「他意」の使い方
  3. 「他意」の類語
  4. 「他意」の英語表現

「他意」とは?

「他意」(たい)とは、他の考え、心に隠した別の考えのことです。

その字のごとく「他の意」という意味であり、「意」は、「意思」「意味」などの言葉に広くみられるように、「心、心の動き、考え、気持ち、物事の内容」を表します。

「二心」という意味もある

「他意」には「二心」(にしん・ふたごころ)という意味もあります。「二心」とは、二つの心を持つこと、すなわち二人の女性を共に愛すること(浮気)や、味方や主君への裏切りの心を持つことという意味です。

二つの心を持つことは物事の矛盾を招き、移り気で実のない心のありさまを表すというイメージから、こちらの意味における「他意」はあまり良い意味では用いられません。

しかし、現代においてはほとんど見られない用法であるため、本記事では「他の考え」という意味の「他意」に絞って解説を行います。

「他意」の使い方

「他意」は、ほとんどの場合「他意はない」という否定形で用いられます。主な使用場面としては、何らかの主張や言葉に添えて、「今言ったことがすべてであり、隠された考えや、裏に隠れた心などない」と強調したい状況です。

人間同士のコミュニケーションでは、必ずしも話し手と受け手との間で同じ認識が共有されているとは限りません。そのため、ちょっとした言葉のすれ違いや感情の置き所によって誤解を生んでしまうことがあります。

そうした事態を避けるために使われるのが「他意はない」という表現です。ただし、ある人が「他意はない」と言ったとしても、本当にその通りであるかどうかは、その人の態度や誠実さから推し量るほかありません。

例文①

(A)

急に飲みにいこうだなんて、ひょっとしてデートのお誘いのつもり?

(B)

いいや。たまたま早く仕事が終わったから、たまにはどうかと思って誘っただけだよ。他意はない。

例文②

(C)

君って、いつも親の金で遊んでばっかりだな。いや、べつに他意はないよ。事実を言っただけ。

例文③

(D)

私は評論家として作品に対する率直な感想を述べたまでです。他意はありません。

(E)

他意はないとおっしゃいますが、この評論は作者への人格攻撃以外の何ものでもないでしょう。

「他意」の類語

「他意」とは、「(話題にしているのとは別の)他の考え」「隠された心」のことです。客観的に考えると、人間の「隠したい心・考え」として挙げられるのは、以下のような言葉です。

  • 悪意
  • 下心
  • 悪気

ただし、「他意」という言葉には、そこにどんな心や考えがあるのか「敢えて特定しない」ニュアンスが含まれており、これらの具体的な言葉で言い換えできない場合もありますのでご注意ください。

他には、「裏」、「腹蔵」(ふくぞう)、「含み」などの言葉も「他意」の類語として挙げることができます。

「他意」の英語表現

「他意」を英語で表現したい場合には、「other intentions」が適切です。複数形にするのを忘れないように注意しましょう。「intentions」(意図)の代わりに「purpose」(目的)を用いてもOKです。

また、「その他には何もない」という意味で、文の最後に「nothing else[more]」を加えるのもよいでしょう。

日本語と同様、「他の意」と言うからには、メインとなる何らかの話題に付け足す形で、「他意」を「no」や「nothing」で否定する使い方が一般的です。

例文

  • I cut my hair because it was hot. I have no other intentions.(私が髪を切ったのは暑かったからだ。他意はない)
  • I mean what I said and nothing else.(今言ったこと以外、他意はないよ)


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