「一義的」とは?
「一義的」(いちぎてき)は、大きく分けて次の二つの意味を持つ言葉です。
- 意味がただ一つのみで、それ以外に解釈がないこと。
- 一番重要で根本的な意義であること。
この言葉がどちらの意味で使われているかは、文脈から判断して読み取る必要があります。日常会話の中に登場することもありますが、ビジネスシーンや論文などのあらたまった文書で多く用いられる言葉です。
「一義的」の使い方
前述のように、「一義的」には二つの意味があり、使い方も異なってきます。その違いは、「一義的」の「一」の字が2つの意味を持つことから生じているのです。
「義」の字には、意味・わけという意味があります。(例:意義、字義など)「一」には複数の意味がありますが、今回重要なのは、(数として)一つ、と最も優れた、という意味です。
「一義的」の持つ2つの意味のうち、「意味がただ1つ」の方では、「一」が「数として一つ」であることを表す働きをしています。
「最重要」という意味で「一義的」を使う場合、「一」は「最も優れた」という意味を表すために使われています。「一義的」という言葉の使い方を、それぞれの意味で分類して例示してみましょう。
「意味がただ一つ」
「一義的」を、「意味がただ一つ、他に解釈の余地がない」という意味で使う場合、わけてもビジネスシーンや文書などでは、もう一つの「一番重要で根本的な意義」と混同されないように注意することが必要です。
- 業務上で、部下に指示を出す場合には誤解の生じる余地がないよう、一義的な解釈のしやすい言葉を使う必要がある。
- 未成年のおこしたトラブルに関しては、その保護者に一義的な責任があると言わざるを得ない。
「最重要である」
- このたび当地域で農産物フェアを開催する一義的な目的は、生産者と消費者の交流を深めるということにあります。
- この組織の一義的存在意義は、ひたすら冤罪被害者の救済にある。
「一義的」の類語と対義語
「一義的」を、その2つの意味のうちのどちらで使っているかによって、類語と対義語も異なってきます。それぞれの場合について、類語、対義語を考えてみましょう。
「一義的(意味がただ一つ)」の類語
「一意(いちい)」という言葉には、下に挙げる2つの意味があります。
- 意味や考えが一致していること。意味や値が一つに確定していること。
- 一つの物事にひたすら意識を集中すること。
1の意味で使われる「一意」が、「一義的」の類語です。通常の会話や文章では、この意味で使われることはほぼありません。
「一意」がこの意味で頻出するのは、数学・IT分野においてのことです。この用法の「一意」は「唯一」と置き換えることができます。
【文例】この方程式の解は一意に定まります。
「一義的(意味がただ一つ)」の対義語
「多義的(たぎてき)」という言葉は、一つの言葉が二つ以上の意味を有する、という意味です。
【文例】「成長」は、実に多義的な言葉です。
「一義的(最重要の意義)」の類語
「第一義的(だいいちぎてき)」という言葉は、「一義的」に「第」がついただけ、と思ってしまいますね。しかし、この言葉には「意味が一つしかない」という意味はありません。もっとも重要で根本的な意味や価値という意味だけをもつ言葉です。
【文例】当子供食堂の第一義的目的は、十分な食事をとることができない児童の救済です。子供同士の交流の場ととらえないでください。
「一義的(最重要の意義)」の対義語
「二義的(にぎてき)」とは、根本的・本質的ではないこと、さして重要ではないことを意味する言葉です。
【文例】私にとって、会社の業務内容こそが、就活上でチェックする一義的なポイントであり、給与水準は二義的なものなのです。