「熾烈」の意味
「熾烈」(読み:しれつ)とは、勢いが激しくて盛りを迎えている様子を表す言葉です。「熾烈」と名詞で使ったり、「熾烈な」・「熾烈だ」のように形容動詞の形で用いたりします。
「熾烈」の字義
「熾」と「烈」それぞれの字義を詳しく見てみましょう。共通するポイントは、「熾」の部首の「火へん」も「烈」の部首「灬」(読み:れっか・れんが)も燃え上がる炎の形を表していることです。
「熾」は「おこ-す」・「おこ-る」・「さか-ん」などの読みがあり、炭などに火をおこして勢いよく燃える、火の勢いが強くて盛んで激しいという意味です。「烈」も火の勢いが激しい、きびしいさまを表していますので、似た意味の漢字を重ねてできた熟語だと言えます。
「熾烈」の使い方と例文
「熾烈」が火の勢いが強いことを表す所から、熱や日差しが非常に強いことを示すことがあります。熱は、物理的に温度が高いということだけでなく、情熱などの人の熱心な気持ちや戦いが白熱していることを意味することもあるでしょう。
【使用例】
- 今年の夏の太陽は熾烈で、植物を枯らさんばかりに照りつけていた。
- 熾烈な恋心が募り、人前で気持ちを隠すことができなかった。
- 会長派と社長派の権力闘争は熾烈を極めた。
「熾烈」は「熾烈な戦い・熾烈な争い」といった言い回しでもよく使われる言葉です。この慣用句については後述します。
「熾烈」の類語
激烈(劇烈)
「激烈(劇烈)」(読み:げきれつ)は、程度が極めて激しいことを表します。
【使用例】
- 激烈な台風が次々とやってきて、深刻な被害が広がっている。
- 競争が激烈で、最終面接までやっとこぎつけた。
- 激烈を極めるレースだった。
苛烈
「苛烈」(読み:かれつ)とは、物事や人の行動が非常に厳しく激しい様子という意味です。
【使用例】
- レースは悪天候で苛烈な状況の中で行われた。
- 苛烈を極めるほどの競争で多くの人が脱落した。
「熾烈」の反対表現
「熾烈」と反対の表現としては、「穏やか」(読み:おだやか)が挙げられるでしょう。静かで落ち着いていて、のどかな様子や人の性格を表します。偏りがなく、他人から受け入れられやすい考え方や物事を意味することもあります。
【使用例】
- 波が穏やかで、泳ぎに行くのにちょうど良い。
- 穏やかな日差しで行楽日和だね。
「熾烈な戦い」とは
「熾烈」は勢い盛んなことという意味ですから、両者が激しくぶつかり合って熱い戦いや争いを繰り広げるというニュアンスでも用いられます。
「熾烈な戦い・熾烈な争い」は、スポーツなどの試合やゲームで、両者がお互いに譲らずに激しく一進一退の攻防をしている様子を表す慣用表現です。
「熾烈な戦い」の使い方
選挙戦や国同士で威信をかけた駆け引きをしている様子、内紛や戦争などで盛んに激しく戦っている様子などを表す時にも用いることもあります。
【使用例】
- クライマックスシリーズでは、2位と3位のチームとの熾烈な戦いが繰り広げられた。
- 国境をめぐる熾烈な争いで両国民が迷惑しているそうだ。
- 今回のコンペでは、初参加のA社が熾烈な競争を勝ち残った。
「熾烈な戦い」の類語
《鍔迫り合い》(読み:つばぜりあい)
もともとの意味は、剣道などの試合で、お互いに相手の打ってきた刀を自分の剣の鍔で受け止めて押し合うこと。その試合内容から転じて、両者が譲らずに激しい試合をすること・勝負をすることを表すようになりました。
【使用例】
- AとBのチームで激しい鍔迫り合いを続け、最後まで目が離せなかった。
- 駅伝では、シード当落線上のチームのアンカーが激しい鍔迫り合いをする。
《ガチンコ勝負》
単に「ガチンコ」と略して使う場合もあります。互いに正面から正々堂々と真っ向勝負をすることを指す言葉です。真剣に勝負や試合をするので、両者負けないように心してかかるため熱戦が期待できるでしょう。
【使用例】
- ガチンコ勝負で挑み、見ていた人から褒められた。
- お互いに全力を尽くすタイプのため、ガチンコ勝負で面白くなりそうだ。
「熾烈な戦い」の反対表現
《凡戦》(読み:ぼんせん)
見るべき所がない平凡な勝負や試合・全く盛り上がりに欠けるつまらない戦いのことです。
【使用例】
- せっかく観戦しに来たのにありきたりな凡戦で残念だった。
- 有力な選手がこぞって出場辞退してしまい、凡戦に終わった。