「惰性」とは
「惰性」とは、「今までの勢いや習慣」のことです。「惰性で~する」というと、あまり良いイメージが浮かばないのではないでしょうか。しかし、「惰性」そのものは、「今までの勢いや習慣」という「事実」を表しているだけです。なぜあまり良くない言葉として使われているのでしょう。
「惰性」の「惰」という漢字に注目してみましょう。普段、書くような機会がなかなか少ない難しい字です。「惰」とは第一に、「気力がゆるみおこたる」という意味を持っています。第二に、「今までの状態や勢いをそのまま続ける」・「慣性」という意味もあります。
このように、「惰」という漢字には「なまける」というような一般的には良くないとされる意味が含まれています。そのため、「惰性」という言葉もどちらかというとネガティブなイメージで使われているのではないでしょうか。
「惰」のつく言葉
「気力がゆるみおこたる」という意味のある「惰」という漢字ですが、「惰」を使った言葉は他にどのようなものがあるのでしょうか。いくつかご紹介します。
・「惰気」(だき。だらける心、なまけ心)
・「惰弱」(だじゃく。意志が弱くいくじのないこと。また、体力のないこと)
・「惰眠」(だみん。なまけて眠ること。また比喩的に、何もせず月日を送ること)
・「怠惰」(たいだ。なすべきこともせず、なまけること)
いかかでしょうか。「惰」という漢字がつくと、いっぺんに印象が変わってしまいます。やはり、良い意味では使われないようです。
「惰性」の使い方
「惰性」がどのような意味を持つのかご紹介しましたが、具体的にどう使うのでしょうか。ここでは、例文を挙げて「惰性」の使い方を解説していきたいと思います。
・彼女とは惰性で一緒にいるだけだ。
・惰性で毎月雑誌を購入しているが、無駄遣いではないだろうか。
・昔は惰性で仕事を続けていたが、今の仕事は楽しく頑張れている。
このように、「惰性」とは「習慣でダラダラと過ごす」という意味があることがわかります。やる気がなく次の行動を起こせないため、仕方なくこの状況に留まっているような印象です。今までの習慣や付き合いを改められず、なんとなくやり過ごしてしまっているのではないでしょうか。
「惰性」の間違った使い方
ここまで「惰性」の意味や使い方についてご説明してきました。きちんと理解していないと、間違った使い方をしてしまうかもしれません。ここでは、不適切だと思われる使い方を敢えてご紹介します。
・彼女と一緒にいられるのは、惰性のおかげだ。
・惰性で毎月雑誌を購入して、お金を有効活用している。
・「惰性で仕事を頑張ります!」(上司や先輩に伝えると想定して)
「惰性」には確かに「今までの勢いや習慣」という意味も含まれます。しかし、このような「プラスの感情や状況」を伝える例文では、「惰性」という言葉は合わないでしょう。「惰性」以外で、他に適切な表し方がないか考えてみると良いのではないでしょうか。
「惰性」のまとめ
「惰性」の意味や使い方について、ご説明してきました。生きていればものごとや人付き合いを「惰性で」続けたり流されたりすることもあるのかもしれません。そして、それは決して悪いことではありませんし、なまけたりさぼったりすることも、時には必要なことでしょう。しかし「惰性に流されず」しっかりと自分の意志を持っていれば、より毎日の生活や仕事に楽しみを見出せるかもしれませんね。