「憤り」とは?意味や使い方をご紹介

「憤り」(いきどおり)という言葉をご存じですか?そう、怒りの感情を表す言葉です。では、「憤り」と「怒り」の間にはちょっとした相違があるのはご存じですか?今回は、「憤り」の意味と使い方を、関連語や類語もまじえてご紹介します。

目次

  1. 「憤り」とは?
  2. 「憤り」の使い方
  3. 「憤り」の関連語

「憤り」とは?

「憤り」(いきどおり)は、怒ること、立腹すること、恨み憤慨することなどを指す言葉ですが、そういった類語とは、少々異なる点があります。

「憤り」は、基本的に、人の内面に不満や怒りがとどまる状態で、他者の目にはわかりづらく、秘めた怒りの感情を表す言葉です。また、悲しみや嘆きを含んでいることも、他の「怒り」を表す語とは異なります。

「憤り」と「怒り」の違い

「怒り」は、説明するまでもないお馴染みの感情ですね。腹を立てること相手や対象に湧いてくる攻撃的な情動などを意味する言葉です。

その怒りのレベルはさまざまで、静かな怒りから、暴言、暴力につながりかねない激しい怒りまで、多様な感情を含んでいます。

「憤り」も、ほとんどの部分が「怒り」と重なりますが、異なる点は、上述したように基本的に「他者にわかりづらい、内面での感情」「嘆きと悲しみを含む」という点です。

これはあくまで辞書的な定義であり、激しい憤りを感じている人の表情から、ありありと怒りが他者に見えることもよくあります。自身で、「憤りを感じる」などと表明するのもよく見られる光景です。

「憤り」に、嘆きや悲しみがかならず含まれるわけではありません。ただ、「まったく、どうなっているんだ!」「こんなことがあっていいのか?」などと感じる場合の表現には、「怒り」よりも「憤り」がふさわしく、嘆きや悲しみも漂う感情が伝わってきます。

「憤り」の使い方

「憤り」が、基本的には他者にその立腹がわからないような、内に秘めたものであることから、用いられるケースとしては、本人が他者や事象に直接関わった結果の怒りよりも、間接的なできごとへの怒りが多くなります。

例として、社会のありかたに対しての怒りを挙げてみましょう。たとえば、いまの生活への不満はあちらこちらで聞こえるのに、いざ選挙となると投票率が半数を越えないことへの感情は、「怒り」よりも「憤り」のほうがふさわしいといえます。

「なぜ投票を棄権する人が多いのだろう?それでは政治は変わらない」という静かな怒りや嘆きが心にあっても、声をあげて強い怒りを他者にぶつける人はほぼいないでしょう。

幼い我が子を殺されてしまった親は、犯人に対して燃えるような激しい怒りをもつはずです。それを報道で知る大半の人は、「なんという残酷なことをするのか」と心で怒り、嘆きます。その感情は「憤り」です。

とはいえ、言葉は生き物です。他者に対して直接表す怒りを「憤り」と表現しているようなケースも、散見されます。

「憤り」の文例

(A男)

ハロウィーン明けの渋谷の街に散らばる大量のゴミを目にして、若者たちのマナーの悪さに憤りを覚えたよ。

(B子)

組織のリーダーたちが不正受給をしている実態が次々わかってくると、薄給でせっせと働く自分の状況が馬鹿らしくなって、憤りを感じるわ。

(C男)

鈴木専務は、無能な創業者三世の社長に意見したら、左遷されてしまった。社員はみな憤りつつ、この恐怖政治にものを申せない雰囲気なんだ。

「憤り」の関連語

「憤」という漢字は、音読みで(ふん)訓読みで(いきどお・る)と読みます。意味は、憤る、憤慨する、奮い立つなどです。

「憤」のつく言葉には、どこかに何かに対して憤る気持ちが含まれています。代表的な二例を挙げてみましょう。

憤慨(ふんがい)

「慨」という漢字は、悲しみや恨みで心が揺れる、という意味をもちます。「憤慨」とは、怒りや恨み、悲しみなどで心が揺さぶられるような感情を指す言葉です。「憤り」と近く、類語と言えないこともないのですが、より強い怒りの感情がこもっています。

【例文】
体育教師から体罰を受けた正夫君は、腕を骨折して入院した。憤慨した両親は、その教師を訴える覚悟を決めた。

憤怒(ふんど・ふんぬ)

「憤怒(ふんど・ふんぬ)」とは、極めて激しく怒ること、または怒り興奮するさまを表す言葉です。また、「憤怒の形相」などと、人の怒りの表情を表すのにも用いられます。

悪を滅ぼし人や世を救うために、恐ろしい怒りを体現している不動明王の顔は「憤怒の相」と称されています。

【例文】
先祖代々伝わる家宝の壺を、酔っぱらった友人に叩き壊された山田氏は、憤怒の相で友人につかみかかった。


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