「忙殺」とは?意味や使い方をご紹介

多くの人にとって関わりたくない言葉の一つが「忙殺」ではないでしょうか。ブラック企業や過労死のイメージのせいで誤解されがちですが、実は「殺」には人が死ぬ意味はありません。では、今回は「忙殺」の意味や使い方を説明していきましょう。

目次

  1. 「忙殺」の意味
  2. 「忙殺」の使い方
  3. 「忙殺」の類語

「忙殺」の意味

「忙殺」とは非常に忙しいという意味です。やるべきことが多すぎて、精神的にも時間的にも余裕がなくなっている状態を表します。

辞書や解説サイトでは、「仕事に追われていること」と説明されることもありますが、ここでの「仕事」は、業務としての仕事だけでなく、委員会活動や、家事に子育てなども含みます。欲求に従った行動とは別の、「やらなければいけないこと」です。

「忙殺」の「殺」の意味

「忙殺」の「殺」は命を奪うことではありません。ただ単に意味を強めるための、強調のための文字です。日常会話でも生命に別条がなくとも「嬉しすぎて死にそう」とか「悲しみのあまり死んでしまう」と言いますよね。忙殺も同じです。

いっけん不思議に思う人もいるでしょうが、同様の表現は多くあります。例えば、「必死」「全身全霊」「粉骨砕身」など。スラングでも「死ぬほど〇〇する」という表現があります。

他に強調の「殺」が使われている熟語には「悩殺」や「笑殺」があります。「悩殺」は男性の心をかき乱すほど、大いに悩ませるほどの魅力という意味です。「笑殺」は大爆笑、あるいは笑って取り合わないという意味です。

「忙殺」の使い方

「忙殺」は基本的に受け身で使われます。仕事に忙しいなら「仕事に忙殺されている」、家事で忙しいなら「家事に忙殺される」です。

能動態で使う場合には、ターゲットに負荷をかけて忙しくさせるという文脈で用いられます。部長が課長に仕事をさせているなら、「部長が課長を忙殺する」、夏期講習で先生が忙しいなら「夏期講習が先生を忙殺している」などですね。

英単語風の訳を当てれば、「~を忙しくさせる、~を多忙な状態にする」となるでしょう。目的語が必要な他動詞、と捉えた方がわかりやすいかもしれませんね。

過労死ではない

「忙殺」はあくまでも非常に忙しいというだけで、本当に死んでいるわけではありません。そのため、いわゆる過労死の意味では使いません。「忙殺」が表すのは過労死の手前にある死ぬほど忙しい状況です。

使用例

  • 年の瀬から年度末までは非常に忙しく、毎年全社員が忙殺されている。
  • ダラダラと残業する課長を早く帰すには、朝から忙殺して体力を奪うしかないという結論になった。
  • 忙殺状態で配慮する余裕がないから、家族とは顔を合わせていない。

「忙殺」の類語

応接不暇

「忙殺」によく似た意味の四字熟語があります。それが「応接不暇(おうせつふか)」です。読んで字のごとく、一つ一つのことに対応するだけの暇がないという意味です。次々にやるべきことが湧いて出ることや、客人が何人も押し寄せる様子を表すために使われます。

「おうせつふか」という読み方から、「応接不可」と書いてしまうケースが見られます。正しくは「応接不暇」ですので、注意しましょう。

多事多端

仕事が多くて手が回らない、目が回るような忙しい様子を「多事多端(たじたたん)」と言います。「多事」は多くの仕事、「多端」は細かい仕事や色々な仕事が多いことです。

一文字違いの四字熟語に「多事多難(たじたなん)」があります。こちらは困難が多くて苦労が絶えないことです。同じ状況であっても、意味合いがまるで変りますので注意しましょう。

天手古舞

あわただしく忙しい様子は「天手古舞(てんてこまい)」とも言います。単純に忙しいというよりは、あわただしいというニュアンスが強い言葉です。

「天手古」は当て字で、神楽の太鼓の音を指すと言われています。太鼓の音に合わせて舞うかのように、せわしなく立ち回っているということですね。

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