「縋る」とは?意味や使い方をご紹介

「縋る」を含む言葉と言えば、「藁にも縋る」や「袖に縋る」が有名ですね。「縋り付く」や「泣き縋る」などの使い方もあります。ところで、「縋る」はどんな意味か、きちんと説明できますか?今回は「縋る」について、意味や使い方、例文などをご紹介します。

目次

  1. 「縋る」の読み方
  2. 「縋る」の意味
  3. 「縋る」の使い方
  4. 「縋る」を含む慣用表現

「縋る」の読み方

「縋る」の読み方は「すが-る」です。訓読みで「すが」、音読みで「ツイ」と読みます。

「縋る」の意味

つかむ

「縋る」にはまず、頼りになるものとして当てにし、しっかりとつかむという意味があります。物理的に力を入れて握りしめることですね。歩く時に杖や手すりをつかむおじいさんやおばあさんが、わかりやすいでしょうか。

頼りにするくらいですから、基本的にはなにかしらの危険や不安のある状況で使います。杖や手すりなら転ぶ心配、命綱なら落下する危険がありますね。頼りたい気持ちがない場合には、感情のこもらない「持つ」や「つかむ」の方がシンプルです。

たよる

「縋る」にはもう一つ、「つかむ」から派生した比喩的な意味があります。頼りにしている相手に助けや哀れみを乞うことです。

例えば、お金の問題や仕事の問題では「そこをなんとか」「助けてください」と自分の抱えている問題の解決を求める場面で使われます。恋愛がらみでは、捨てないで欲しいと相手に頼み込むような場面が、ドラマではよく描かれますね。

「縋る」の使い方

「縋る」は類語と比べてもとりわけ当人の必死さ、切実さの強い表現です。客観的なものというよりは、本人がどう感じているかという主観的な気持ちを基準として用いられます。

「縋る」は文中では「縋るような」「縋りつく」という形で使われます。「縋る思い」のようにすぐ後に名詞を伴うことも多いです。慣用的な用法としては、「取り縋る」「泣き縋る」「縋り付く」があります。

「縋る」対象について

何かに頼らずにはいられない心情を表す「縋る」ですが、必ずしも「縋る」対象が当人にとって必要なものとは限りません。

例えば、「別れ話を切り出した恋人に縋る」なら恋人が必要不可欠な相手です。一方「訃報に接し、手近なカバンに縋り付く」ならカバンである必要はありませんよね。

それでも、どうしても何かに頼りたい時には、とっさに近くにあるものに縋ってしまうのが人間というものなのかもしれません。

例文

  • 命綱に縋り、一歩一歩慎重に進んでいく。
  • そこで見たのは、変わり果てた友人に縋り付いて泣く、妹の姿だった。
  • 村人たちの縋るようなまなざしに背を向け、私は逃げるようにその場を離れた。

「縋る」を含む慣用表現

藁にも縋る

「藁にも縋る」とは、苦しい時にはどんな頼りないものであっても当てにするという意味です。同じ意味の表現に「溺れる者は藁をもつかむ」があり、溺れている人はどんな些細なものにでも縋り付いて生き延びようとすることを表しています。

言い換えれば、万策尽きて、もうどうしようもない状況に陥った人が、どんな小さな可能性でもかけてみたいとなりふり構ずに助けを求める様子です。

この場合、縋り付く対象は物でも人でも構いませんが、相手を藁扱いしているわけですから、縋る相手に直接言ってはいけません相手に敬意を表する場合には、「光明が差す」や「天の助け」などと言い換えた方が良いでしょう。

袂に縋る・袖に縋る

泣きついてお願いし、哀れみを乞うことを「袂(たもと)に縋る」や「袖(そで)に縋る」といいます。身分の差や、和服か洋服かなどで使い分けている人もいるようですが、一般的にはどちらも同じ意味です。

江戸時代の踊り子たちの振る舞いを未婚女性がまねたことが由来とされ、女性から感情を言葉で伝えることが許されなかった当時は、袖や袂の仕種で感情を伝えることがありました。袖に縋るのは哀願、袂を左右に振るのは恋愛における「ごめんなさい」です。

なお、「袖」は腕から肩までの部分を、「袂」は袖から垂れた袋の部分をそれぞれ指します。別の場所なのですが、ことわざでは混同して使われます。「袂を絞る」と「袖を絞る」、「袂を分かつ」と「袖を分かつ」、これらは同じ意味です。


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