「なろう系」とは
「なろう系」とは、大手の小説投稿サイト『小説家になろう』と関係がある、ないしは同サイトに投稿される小説に似た作風の小説を指す俗語です。
「なろう系」の意味
「小説家になろう」出身の作家や作品
「なろう系」は『小説家になろう』に投稿していた作品や、投稿実績のある作者たちという意味で使われます。「系」には関連やまとまりという意味がありますから、単に『小説家になろう』出身という程度の意味ですね。
「小説家になろう」にありがちな作品
「なろう系」にはもう一つ、『小説家になろう』でよく見かけるような設定の作品という意味もあります。一般的にはこちらの意味の方が多いでしょう。
この場合、必ずしも『小説家になろう』に投稿されている作品とは限りません。設定やタイトルなどの特徴が『小説家になろう』にありがちなものならば「なろう系」と呼ばれます。
タイトルや作中設定にどのような特徴があるものが「なろう系」と呼ばれるのか、さらに詳しく見ていきましょう。
「なろう系」の特徴
ほとんどの「なろう系」作品はプロではない、素人の人が書いたものが元になっています。そのため、ある種テンプレートのような特徴があります。ここでは代表的な3つを説明しましょう。
タイトル
「なろう系」と呼ばれる作品には、特徴的なタイトルが見られます。どんな設定で、どんな内容なのかを説明するような長いタイトルがよく見られ、あらすじ的タイトルや説明的タイトルともいわれます。
これは、『小説家になろう』の構造的な問題に由来すると言われています。サイトには一日に数百ともいわれる作品が投稿されますが、読まれる作品はランキング上位の一握りです。
そして、このランキングに表示される時には、タイトルのみであらすじが表示されません。そのため、内容を説明するタイトルが好まれる傾向があるようです。
具体的には、主語と動詞が入る、文章調のタイトルがこれに該当します。特に、末尾が「~の件」で終わる、句点やエクスクラメーションマーク(!)など記号を付ける、といったものが多く見られます。
世界観
「なろう系」の作品の多くは異世界を舞台とし、何かの事情で主人公が別の世界に行くことになるところから物語が始まります。「異世界転生」と呼ばれる設定ですが、仏教の転生とは違い、記憶や人格、場合によっては肉体や持ち物も伴う移動です。
また、異世界はRPGに見られるような中世ヨーロッパ風のものが定番です。剣や槍、魔法のあるファンタジーが多く、天使や悪魔、妖精にモンスターなどが登場することもよくあります。
この、なろう系特有のヨーロッパ風世界観を表す「ナーロッパ」(なろう+ヨーロッパ)というスラングも近年になって登場しています。
主人公
「なろう系」の主人公は往々にして万能であったり最強であったりするものがほとんどです。作品によって変動はありますが、主人公は最も優れた存在として書かれます。
その優れた能力は神から選ばれて能力を与えられたり、突然才能が開花したりするものがほとんどです。基本的には努力不要の、運による「棚から牡丹餅」です。巷では「チート」という俗語が当てられます。作品によっては知識で活躍することもあります。
さらに、俗に「ハーレム」ともいわれるほど異性に好かれるという特徴もあります。男性主人公が運によって力を手に入れ、異世界で活躍する。その結果多くの女性に好かれる。これが「なろう系」によくある主人公の設定です。
「なろう系」の使い方
注意点
「なろう系」という言葉は著者や作品を馬鹿にした言葉、蔑称と認識する人がほとんどです。安易な使用はトラブルの元となりかねません。誤解を避けたい場合には使用しない方が良いでしょう。
悪口として使う場合には、テーマがないため内容が薄い、大衆向けの質の低いライトノベル、素人が書いた作品といった意味でも用いられます。
例文
- なろう系の小説なんて呼んでいるの、と同級生に馬鹿にされた。
- なろう系特有の、ご都合主義設定は見てられない。
- わかりにくいから、なろう系タイトルに変換してみた。
「なろう系」の代表例
有名な「なろう系」の作品には以下のようなものがあります。
- 異世界はスマートフォンとともに。
- オーバーロード
- この素晴らしい世界に祝福を!
- 盾の勇者の成り上がり
- 転生したらスライムだった件
- Re:ゼロから始める異世界生活